2017年は年始からインフルエンザの流行やノロウイルスに関するニュースがテレビで放送され、今年は感染症に注意しなければと考えてはいた中、先日も北関東でトングの使い回しによるものと思われる集団食中毒が発生しました。
感染症予防は今年だけでなく、常に気を付けて欲しいことですが特に直接口に触れる食べ物やそれを載せる食器類の除菌消毒は気になるところです。
赤ちゃんがいる家庭ではほ乳瓶の消毒などにはかなり気を使うのではないかと思います。
今回は、小さなお子様がいる家庭でも実践して頂きたい、食器類を安全に使う為の消毒方法を紹介致します。
細菌の弱点
ウイルス・細菌は熱に弱い
口から入って来る病原菌で具体的な存在としてノロウイルスとO-157等に代表される腸管出血性大腸菌があります。
それぞれウイルスと細菌という別々の種類の病原体ですが、共通する弱点として熱に弱いという特性があります。
ノロウイルスなら85℃以上の温度で90秒以上、腸管出血性大腸菌であれば75℃以上で60秒以上加熱する事で無力化する事が可能です。
但し、冷凍食品などの温度が表面から伝わり難い食材の場合は、中心部まで熱が届くまで時間が掛かるので、充分加熱されるように長めに調理するようにしましょう。
消毒方法
次亜塩素酸ナトリウムが有効
食器類に付着した病原菌を殺菌するには、彼らの弱点である熱処理消毒を行う事が非常に有効です。
しかし、沸騰したお湯に長時間漬けると食器が劣化してしまいますし、作業を行うのも大変です。赤ちゃんのほ乳瓶のプラスチック部分などは熱による影響を受けやすいので注意が必要です。
そこでお湯に塩素系洗剤などを適量入れて漬け置き洗いをしましょう。
目安としては20分ほどと考えてください。
漬け置いたら、お湯を入れ替えてスポンジなどで洗い、よくすすいで洗剤を落としてから乾燥させてください。
もしあれば熱風を用いる食器乾燥機に入れると熱風消毒が出来て効果的です。
熱風消毒が出来ない場合、漬け置きに次亜塩素酸ナトリウム溶液(じあえんさん)を用いる事もオススメです。
200ppmほどの濃度の溶液に10分ほど漬けたら、よくすすいで洗い流してから水気を切って清潔な棚へ保管しましょう。
食器を使う前にアルコールペーパーなどで拭き取れば、より清潔さを保つ事が出来ます。
お箸やしゃもじといった比較的小さな食器は、まとめて熱湯に1分以上漬けて消毒してしまうのも良いでしょう。
次亜塩素酸ナトリウム溶液は厚生労働省もノロウイルス対策に有効としており、塩素系漂白剤に同じ成分が含まれるものも存在します。
ただし、使用の際には注意事項をよく確認して使用する様にしましょう。
酸性の洗剤と混ぜる事で有毒ガスが発生する可能性がある事や腐食性がある為、長時間の使用や人体へ直接触れる使い方をする事は避けてください。
安全に消毒液などを用いながら感染症を防ぎ、家族全員健康に過ごしていきましょう。
熱に強い菌も存在する?
ウェルッシュ菌
多くの菌は熱に弱いものですが、中には熱に強い菌も存在します。
多くの人達が好きな食べ物であるカレー。自宅で作った時に「一日寝かせるとコクが出て更に美味しくなる」と、よく言われています。
食べる時は再び加熱するため食中毒は起こり難いと思われていますが、思いがけない所に落とし穴が潜んでいます。
「ウェルッシュ菌」という菌です。
1時間ほど煮沸しても死滅しないとも言われ、増殖させない事が重要です。
空気を嫌い繁殖するため、寝かせているなべ底付近は菌にとって最適な住家となります。
例外的な菌については、増殖させない様に気を付けるしかありませんね。
大量にカレーを作る時は、空気を入れるために、かき混ぜながら加熱調理して、作り置きする場合は中心部まで冷やす事が出来るように、小分けして早めに冷蔵庫に入れる事が重要です。
正しい知識を身に付けて、家族みんなが健康で美味しい食生活を送れるようにしましょう。
まとめ
・ウイルスや細菌は熱に弱い
・食器は熱処理や漬け置き洗いで充分に殺菌する
・次亜塩素酸ナトリウム溶液などを用いる際は正しく使うようにする。
・例外的に、熱に強い菌も存在するため、菌を増殖させない事が重要
参考サイト
◆文部科学省「調理場における洗浄・消毒マニュアルPart2」
◆広島市「消毒液の作り方と使用上の注意(次亜塩素酸ナトリウム)」
◆厚生労働省「ノロウイルスに関するQ&A」
◆厚生労働省「腸管出血性大腸菌Q&A」
◆東京都福祉保健局「食品衛生の窓」