二十歳になると、保護者の承諾なしに、いろいろな契約をできるようになります。一方で、二十歳に成りたてだと、まだ契約の重さを理解していないこと、クレジットカードやカードローンでの借り入れの手軽さばかりに注目すること等から、消費者トラブルに巻き込まれることも多いです。
消費者センターによせられる消費者トラブルの相談件数は、18歳~19歳の人が関わるものに比べて20歳~21歳の人が関わるものは1.5倍以上に跳ね上がります。
本記事では、二十歳になりたての人たちの巻き込まれている消費者トラブル例を見ていきます。保護者の方から、契約やお金の借り入れの重さについて教えてあげてください。
男性は儲け話しで、女性は美容の話しでトラブルに

消費者トラブルとは、その名の通り、消費者が商品やサービスを購入する契約で、販売者等契約相手とトラブルになるものです。
消費者トラブルの事例を見ると、消費者に非があるか販売者に非があるか解らないものも多いですけど、二十歳になりたての人をことば巧みに誘導して契約をさせようとする悪徳業者も多数存在するのは確かなようです。
二十歳になりたての男女で見ると、男性はマルチ商法等の儲け話しで、女性はエステ等の美容関係の話しで消費者トラブルに巻き込まれる割合が高いという特徴があります。以下、実例に基づいた消費者トラブル例を紹介します。
マルチ商法でのトラブル

「はじめに仮想通貨の購入に数十万円かかるけど、あなたの友人にも同じように仮想通貨の購入を勧誘して仮想通貨を買わせることができればあなたは多額の報酬をもらえ、大体三人以上の勧誘に成功すれば数十万円の儲けが出る。また、勧誘する相手の友人だって、同じように三人以上の勧誘に成功すれば数十万円の利益が出るのだから簡単に応じてくれるはず」等の商売の勧誘をされて、消費者トラブルになった人も多数います。つまりは、仮想通貨購入の数十万円を払っただけで、結局誰にも仮想通貨の購入をしてもらえず損失だけ出たというものです。
具体例として仮想通貨を上げましたが、仮想通貨とは限りません。商品の種類は金融関係のものから、物体としての商品までさまざまです。いずれにせよ、会員が新規会員を誘ってその新規会員が更に別の会員を勧誘する連鎖により商品を流通させようという商売で、マルチ商法と呼ばれています。
普通のバイトだと何時間も拘束されたり時給は1000円程だったりするのに対して、マルチ商法だと、授業の終わりにちょっと友人を誘うだけだし、とんとん拍子に進めば友人三人に数分程の勧誘をするだけで数十万円も儲けられる、そんな期待もしてしまうところです。ですが、詳細は省きますがマルチ商法で成功できるのはほんの一部の人だけです。
マルチ商法に限らず儲け話しは、「今しかない」とか「絶対儲かる」等と言われても、まず儲けの仕組みをきちんと理解し、リスクや成功率や世間の評判等を把握した上で手を出しましょう。すると、大多数の儲け話しは裏があることがわかりますよ。
ネットの「必ず痩せる」という広告から
美容に関心の高い二十歳くらいの女性が、ネットの広告から痩身エステに応募して消費者トラブルになった例もあります。
エステの施術後、「もっときれいになれる」という高額の施術を勧められるのです。そして、「通常の何割引にもなるキャンペーンは今だけ」等と圧され、思わず契約をしてしまうのです。
二十歳を過ぎた者が契約をした場合、後から保護者が解約することもできません。本当に痩せたのならお金を払った対価はあるかもしれませんけど、施術する人の評判、実績等をきちんと把握するまでは契約をするべきではありません。ちなみに、実際には痩せなかったというトラブル例も多々ありますし、「施術中にこんな肌トラブルを見つけた、その解決にさらにお金が必要」等さらにお金を要求された例もあります。
「何にどれだけのお金を払うか」「何を得られるか」を、契約前にはっきりとさせましょう。
消費者トラブルは多種多様
以上二例を見てきましたが、消費者トラブルはまだまだたくさんの例があります。
在宅ワーク斡旋業者から「儲かるビジネスなのだけど初期費用で数十万円必要」と言われ、初期費用を払ってそのビジネスを始めるものの全く儲からなかった消費者トラブル。
悩みを持った二十歳くらいの人が、SNSに悩みを書きこんだところ親身なって相談に乗ってくれた人がいて、後日実際に会うことになりそこで数十万円の受講料のかかる自己啓発セミナーをすすめられたというような話しもあります。
おそらく、その種類は今後も増え続けるでしょう。
クレジットカードの作成やカードローンをすすめられる

ところで、ここまで見てきた消費者トラブルの例では、「はじめに数十万円が必要」というものが多いです。二十歳と言えば、就職をしていても簡単に数十万円は出せないでしょうし、学生ならなおさらです。どうして、二十歳くらいの人が簡単に数十万円を払えるのでしょうか?
その理由の一つが、クレジットカードの作成や銀行カードローンです。二十歳と言えば、クレジットカードやカードローンの契約も可能ですよね。住宅ローン等大型の借り入れと違い、クレジットカードやカードローンでは、簡単な審査で数十万円の借り入れも可能で、学生でも簡単に借り入れられるものも多数あります。また、月々一万円程の返済で数十万円の借り入れをできるものも多数あります。悪徳業者の中には、ことば巧みにクレジットカードやカードローンの契約を結ばせる場合も多々あるようです。
消費者トラブルに合わないために
まずは、二十歳くらいの人を狙って、悪質な契約を結ばせようとする業者もあることを知っておく必要があります。
そして、「簡単に儲かる」「絶対きれいになれる」等、誰もが理想とすることが簡単に手に入るとうたうものは疑ってかかる必要があることを、独り立ちをする前のお子さんに教えてあげてください。
また、相手が悪徳業者かどうかに関わらず、契約をする際には契約書をよく読んで「何に、どれだけのお金を払い、何を得られる」かをはっきりさせるくせを付けることも、合わせて伝えてあげてください。
それから、もし消費者トラブルに巻き込まれたら消費生活センターが相談に乗ってくれることも教えてあげてください。ただし、悪徳業者の中には、例えば「在宅ワークの途中で法に触れているので、誰かに相談するとあなたは逮捕される」等と脅しをかけてくる場合もあることにも注意です。
まとめ
・18歳~19歳の人に比べ、20歳から21歳の人の消費者トラブルは急増する
・二十歳になりたての人を狙って悪質な契約を結ばせようとする業者もある
・簡単に儲かる、簡単に痩せる等理想とするものが簡単に手に入るといううたい文句は疑ってかかるべき
・契約前には契約書をよく読み、「何にどれだけのお金を払う」「何を得られる」かをはっきりさせる
・クレジットカードの作成やカードローンをすすめて契約を結ばせようとする業者は疑う
・消費者トラブルは、消費生活センターに相談する
参考サイト
◆政府広報オンライン「20歳の皆さん、ご用心!成人になると増える、こんな消費者トラブル」
◆政府広報オンライン「タレント・モデル契約のトラブルにご注意を!…」