梅雨の季節でも、火事のニュースが時折り報道されますね。
ちょっとした火の手が大きな火災になる事もあると考えると、日ごろから火災への備えをしておきたいですよね。
中でも消火アイテムは初期消火を確実にする為に抑えておきたいアイテムです。
しかし、中には特定の火災に使う事が出来ない消火アイテムがあるという事をご存じでしょうか?
今回は、消防庁も注意を促している油火災に弱いというハロン系エアゾール式簡易消火具をご紹介しまう。
エアゾール式簡易消火具の種類
ハロン系消火剤を用いたエアゾール式簡易消火具を使用する時は注意
消火アイテムには大きく分けて三種類に分けられます。
ひとつは消火剤を噴射して火を消す消火器、消火バケツや乾燥砂といった簡易消火具、そしてそれらの補助となる消火アイテムです。
エアゾール式簡易消火具は消火器の補助となる消火アイテムで初期消火に役立つアイテムの一つです。
液体や粉末状の消火剤を殺虫スプレーの様に火へ吹きかける事で消火するアイテムになります。消火剤を霧状に噴射する事からエアゾール式と呼ばれています。
消火器と違って簡単に保管出来ますし、場所も取らないので台所の火災といった狭い場所での火災に便利なアイテムです。
しかし、輸入品として流通している物の中にはハロンというフロンガスの原料であるフルオロカーボンの中で臭いを含む物質が消火剤で使われている事があります。
既に日本ではオゾン層保護を目的としたウィーン条約に基づいて1994年から製造されていませんが、毒性が低く汚れになり難いため消火剤として使われている国がまだあるのです。
通常の火災に対しては優秀なのですが、ハロンは使用対象を冷却する能力が低いので油火災ではしっかりと消化できないという事が消防庁より注意喚起されています。
現在の消防法では使える火災に関する表記が2017年4月1日よりされていないと販売出来ない事になっていますので、選ぶ時は適応火災の表記を確認する様にしましょう。
油火災の特徴
油の熱を冷まさないと消えない
なぜ冷却力が足りないと油火災は消せないかと言うと、物が燃えるという現象は一定以上の温度があり、燃える為の酸素が送り込まれていて、燃える物が存在するという三つの条件が成り立っているという事です。
油火災の特徴としては燃える物となる油が非常に高温になり易く、酸素が送り込まれる限り燃え続けてしまう事です。
しかも油は冷め難いので、せっかく火を消しても酸素が再び入って来ると再び火が点いてしまう傾向があります。
油火災の消し方
火を消したら冷ます
油火災の消し方としては、火を消すために油を冷やし、空気が入る事を遮断する事で消し止めます。
その為、消火剤や泡で空気を遮断して油も冷まして消し止める消火器を用いるのが最適な方法です。
エアゾール式簡易消火具を用いる場合も、油の温度を下げられる液体消火剤を用いるタイプのものは有効なので、台所に備える消火アイテムとして検討してみると良いでしょう。
他の消火方法としては濡らしたタオルで油が入った鍋を覆う様に被せる方法や、蓋を閉める方法がありますが、注意点として火傷をする可能性があるのと油が冷めるまで動かさないという点があります。
油火災は高温の油が飛び跳ねる可能性から出来るだけ離れた場所から消火する手段を模索するべきです。
そして油が冷えるまで再び発火する危険性がある事を覚えておきましょう。
エアゾール式簡易消火具は非常に便利な消火アイテムですが、あくまで初期消火の為に使う補助的なアイテムであるという事と、ハロンを用いたタイプは油火災に弱いという事を選ぶ時に思い出してくださいね。
まとめ
・エアゾール式簡易消火具という小さくて簡単な消火アイテムがある
・ハロンという消火剤を用いたものは油火災に弱い
・油火災は危険なので、なるべく遠くから消火アイテムを使って消す
・油は冷めるまで発火する危険があるので油断しない
参考サイト
◆ハロンを使用したエアゾール式簡易消火具は「天ぷら油火災」に有効ではありません(総務省消防庁)
◆エアゾール式簡易消火具 日本消防検定協会