2018年に発生した台風の数は29個と平均を上回り、日本に上陸した数は5個となりました。
2018年は台風によって甚大な被害が発生した年でもありました。関西地域を襲った台風21号によってもたらされた被害は、記憶に新しいでしょう。
2018年に台風が大量発生したのはなぜなのでしょうか。これから台風シーズンを迎えるにあたり、台風が大量発生する理由や勢力が拡大する理由について理解を深めましょう。
2018年に台風が大量発生した理由

台風が大量発生した理由を考えるにあたり、まずは台風が発生する仕組みを知りましょう。
台風は日本の南側にある赤道付近の海上で発生します。赤道付近の海は「海水の温度が高い」「強い日差しがある」という2つの特徴があります。強い日差しで海水が温められると、大量の水蒸気が発生します。水蒸気は空気よりも軽いため上昇する性質があり、上昇気流を作ります。上空に達した水蒸気が冷えると雲が発生します。雲が発生する時に生まれるエネルギーがさらなる上昇気流を生み出し、周囲の湿った空気を巻き込みながら渦を巻きます。この繰り返しによって熱帯低気圧が発生します。熱帯低気圧のうち赤道以北かつ東経180度より西で発生し、かつ最大風速が毎秒約17m以上に達するものが、台風と呼ばれるようになります。
気象庁は、2018年は赤道付近の海面温度が例年よりも1度高かったことが、台風の大量発生につながったのではないかと指摘しています。
台風の勢力が拡大した理由

2018年9月3日~5日にかけて日本列島に上陸した台風21号は非常に強い勢力を保ち、ライフラインの停止や関西国際空港の機能不全をもたらしました。
台風21号が大型の勢力を保ったまま上陸した背景の一つに、日本近海の海水温度が高かったことが挙げられます。台風の仕組みで説明したように、台風は海水が蒸発することにより勢力を拡大します。そのため、日本近海の海面水温が高いと勢力が増すのです。
8月後半のイベントや交通網に影響を与えた20号や、沖縄から東北まで幅広い地域に影響を与えた台風24号が猛烈に発達したのも、海面水温の高い領域を通過しながら進んだからだと考えられています。
2018年の台風被害から学ぶこと

2018年は台風が記録的な被害をもたらした年でした。日本列島に接近し西日本豪雨に影響を与えた7号、変則的な進路を辿り「逆走台風」と呼ばれた12号などを含めると、台風が生活に与えた影響は甚大なものであったと言えるでしょう。
台風の接近・上陸は、命を奪ったり生活に甚大な影響を与えたりする大きな被害につながります。被害を少しでも少なくするためにも、台風情報や避難情報に積極的かつ頻繁に耳を傾けてください。ハザードマップで水害や土砂災害の恐れが指摘されている地域では、早めの避難を心がけましょう。台風が接近・上陸している時は、不必要な外出やレジャーなども控えるのが望ましいとされています。
「台風=毎年発生する現象」と軽く考えるのではなく、過去の被害に目を向けながら最良の行動を心がけましょう。
まとめ
・2018年は赤道付近の海面水温が上昇し、台風が多く発生した
・日本列島付近の海面水温も上昇したことから、勢力の強い台風が上陸した
・台風接近時は台風情報や避難情報を積極的に収集し、最良の行動を心がける