日本には毎年数個の台風が上陸します。2018年7月に発生した台風12号は複雑な進路を辿ったことで話題となりましたが、そもそも台風の進路はどのようにして決まり、なぜ日本に毎年上陸するのでしょうか。今回は台風の進路について考えてみましょう。
台風とは?
台風はどこからやってくるのでしょうか。
台風は赤道付近の海上で発生します。太陽の熱で温められた海水が蒸発する過程で空気の渦が発生し、その渦は周囲の湿った空気を巻き込みながら上昇気流を作ります。上空に達した水蒸気は冷えて雲になりますが、水蒸気が雲に変化する時に多くの熱エネルギーが放出され、その熱エネルギーが周囲の空気をあたためて上昇気流をさらに強めます。これを繰り返しているうちに渦が大きくなり、熱帯低気圧が生まれます。
こうして生まれた熱帯低気圧のうち、北西太平洋域と呼ばれる領域(赤道以北かつ東経180度より西)で発生し、なおかつ最大風速が毎秒約17m以上に達するものを台風と呼びます。
台風の進路はどうやって決まるの?日本に来るのはなぜ?
台風の進路は主に風と気圧によって決まります。まず、北半球で発生する台風は必ず南から北へ進路を取ります。日本の南海上で発生した台風は、偏東風(東から西に向かって吹く風)に流されるようにして、当初は北西方向に進みます。偏東風の影響が弱まる沖縄付近に近づくと、今度は偏西風(西から東に向かって吹く風)の影響を受けて北東に向けて進路を変更します。
台風には太平洋高気圧の縁を沿うようにして移動する性質があります。そのため、台風の進路は太平洋高気圧の位置や強さによって大きく変化します。夏場は日本列島を覆うように張り出していた太平洋高気圧も秋にかけて弱まり、日本列島の中央付近まで衰退してきます。台風はこの太平洋高気圧の縁を沿うようにして北東に進むため、日本列島に上陸しやすくなるのです。
台風が日本に接近した数・上陸した数は8月がトップですが、9月に発生する台風は秋雨前線を刺激することから、大雨になることがあります。数千名単位の死者を出した「根室台風」「枕崎台風」「伊勢湾台風」は、どれも9月に日本列島に上陸した台風です。
台風は風害だけでなく、水害、土砂災害、高潮災害など様々な災害をもたらすことがあります。台風情報はこまめにチェックし、異変を感じた時は早めに避難を開始しましょう。
まとめ
・台風は偏東風・偏西風・太平洋高気圧の影響を受けて進路が決まる
・太平洋高気圧が日本列島の中央に位置する晩夏~秋は、台風が日本に接近・上陸しやすい
・台風は様々な災害に直結しやすいため、異変を感じたら早めに避難する