夏から秋にかけて天気予報を見ていると、ぐるぐると渦巻きを描くように見える台風の雲の様子が気になりますよね。
台風は日本に近づく頃には大きく成長していますが、いったいどこでどんな姿で生まれるかはご存知ですか?
しっかりした台風対策をとるために、まずは台風がどの様にして生まれてくるのか? どうして台風が日本付近でカーブするのか? などを詳しく調べてみました。
そもそも台風とはどんなもの?
世界中で発生する台風と同じ現象
実は世界中で台風と同じ物は生まれていて、地域によって「サイクロン」や「ハリケーン」「タイフーン」と呼び名が変わります。
その中で、太平洋の赤道付近(中でも東経180度より西のアジアより)で生まれる「熱帯低気圧」のうち、大きく育ったものを「台風」と呼びます。
最大風速が毎秒約17m以上になると「台風」です。
台風がたびたび日本列島に沿って大きくカーブする理由は、地球の自転と風の影響です。
北半球生まれの台風は、自転の影響で必ず北へと進路をとります。
赤道近くの場所では貿易風(東風)という東から吹く気流によって、北へ向かいながら西へと流されます。
なので発生直後の台風は、たいていの場合は北西に向かいます。
台風がさらに北上し、日本に近づいてくると今度は偏西風と言われる逆向きの強い気流で、今度は西から東へと流されはじめます。
この風によって、台風は大きく東へカーブしながら、まるで日本列島を沿うように北東へと通り過ぎていくのです。
最悪の場合、沖縄・九州から上陸して四国・本州・北海道と通り過ぎる可能性もあるわけです。
台風の形状はよく天気予報で見るように、ぐるぐると渦巻き型をしています。
回転方向は必ず「反時計回り」です。
なぜ台風はいつも同じ方向に回るかというと、これまた地球の自転が関係しています。
地球の自転により台風には「コリオリの力」が作用しており、南半球で発生した場合は時計回りに回転しながら南下することになります。
洗面所やお風呂の水を排水溝に流す時に渦を巻くことがありますよね?
あの回転方向が台風の回転方向と一緒なのです。
南半球では日本とは逆の時計回りに渦を巻くので、もしブラジルやオーストラリアなどに行く機会があればぜひお試しください。
強い台風は「目」が違う
台風の目が小さくはっきりしていたら要注意
台風はすごく大きな積乱雲(入道雲)といえる存在です。
通常の積乱雲が高さが5~10kmなのに対し、台風の高さは10kmから15kmにまで及びます。
周囲では上昇気流が発生して雲を大きく発達させますが、中心部では気圧の関係で猛烈な下降気流が発生していて、「台風の目」と言われる雲が無く風雨も弱くなる現象が起こります。
台風の目の直径は20kmから200kmに及ぶ事もありますが、これが小さいくてクッキリ分かる程強い台風であると言われています。
もしも天気予報などで衛星写真を見たときに、台風の目が小さくてはっきりしていたら要注意です。
台風の目の周りには「アイウォール(『目の壁』の意)」と呼ばれる強力な積乱雲の壁があり、特に強力な嵐を巻き起こしています。
更に外側に行くと「スパイラルバンド(内側降雨帯)」と言われる雨が激しく降る雲が続き、台風の分厚い雲を構成しています。
そして、台風の周りで帯状に広がる雨雲が「アウターバンド(外側降雨帯)」と言われる雲で、雷雨の他に竜巻を起こす事もあります。
……台風は「目」以外は気の抜けるようなところは無い、とても怖い存在なのです。
台風はどの様に生まれるの?
台風誕生のメカニズム
もともとは熱帯低気圧と呼ばれるものが発達して生まれるのが「台風」ですが、いったいどの様に台風は生まれるのでしょうか?
また生まれた直後の台風はどのような姿をしているのでしょうか?
台風の卵、熱帯低気圧が生まれる赤道付近では、ご存知の通り非常に暑い地域です。
長く強く降り注ぎ続ける太陽光により海水が温められ、常に大量の水蒸気が発生しています。
通常であれば水蒸気は積乱雲になって現地で雨を降らせるのですが、この水蒸気の上昇時の力が強いと空気の渦が生まれる事があります。
すると渦に巻き上げられながら積乱雲が発達していくのですが、その過程で雲の中で水蒸気がくっついて水の粒になります。
水蒸気が水の粒になるとき、蒸発するときに吸収した熱を粒の表面から放出します。
この熱で更に渦が上昇気流として勢いをつけていきます。
これが何度も何度も繰り返されていくと、猛烈な風とともに巨大な積乱雲を生み出すこととなり、結果「台風」が生まれるのです。
その為、台風が生まれる場所は自然と赤道付近の暑い場所になり、「誕生日」も比較的暑くなりやすい夏~秋の時期が多くなるのです。
つまり、熱帯低気圧・台風はもともと暖められた海水が水蒸気になるところから始まるのです。
そのため暖かい空気と冷たい空気が混ざり合う温帯低気圧とは違い、台風は蒸し暑い空気の塊だけで構成されています。
生き物が生まれてくる様に、台風にも一生があります。
台風がその一生を終える時は、海面から水蒸気を得られない状態になった時、つまり熱を得られなくなった時です。
日本に台風が上陸した後にたいてい温帯低気圧か熱帯低気圧になって消えてしまうのですが、これは台風よりも冷たい風が混ざる事で、暖かい空気の塊である台風の力が弱まってしまうからです。
冷やされると台風は形を崩してしまい、低気圧になります。
ただし、風の勢いが弱くなりいわゆる「台風」ではなくなるものの、広い範囲で強い雨が降り続ける事があります。
簡単に消滅する訳ではないのも台風の特徴ですので、注意が必要です。
これから日本は本格的な台風シーズンに突入します。
台風関連のニュースや天気予報には十分注意して、被害を拡大させないように備えておきましょう。
まとめ
- 台風は赤道付近の海水が水蒸気になる過程で発生する
- 台風の目が小さくはっきりしているときは要注意
- 台風は冷えると勢いが弱まるが、大雨を引き起こすことがあるので注意