昨今、頻発している大地震に不安を感じ、ご自宅の耐震リフォームを検討されている方も多いことと思います。しかし、一体どこへ頼めばいいのかわからないまま、タイミングよくやってきたリフォーム会社の営業マンにそのままお願いしたところ、きちんとした診断もなく、不要な工事で代金を請求された…というケースが後を絶ちません。
大切な家族と財産を守るための工事ですから、信頼のおける業者にお願いして、しっかりとした工事をしてもらいたいですよね。今回は、悪質業者の見極め方とともに、どのような業者であれば安心して耐震リフォームをお願いできるかについて考えてみましょう。
耐震リフォームの前に、耐震診断は必須です!
まず、耐震補強工事を行うにあたって、耐震診断を行うことは必須項目です。実際にご依頼主のお宅にお伺いし、通常2~3時間程度の時間をかけて、家屋の床下から小屋裏、外壁や屋根の状況、様々な部位の劣化状況や周辺の環境なども含めて、総合的に大地震に耐えられるのかどうかを判断します。(計算の作業が入りますので、詳細な結果報告は後日になることがほとんどです。)
木造住宅の場合、大地震に耐えられるかどうかの判定は、「上部構造評点」という数字で表されます。1.0以上であれば一応倒壊しない、1.0未満であれば倒壊する可能性が高い、というように、数字を見ればおおよその耐震性能がわかる、というわけです。(この評点の具体的な内容については、後日、詳細記事を掲載予定です。)
耐震補強工事というのは、この「評点を上げる」作業です。ですから、評点がわからないことには補強のしようもない、ということで、はじめに耐震診断を行う、というわけです。
このような理由で、耐震補強工事を行うためには、耐震診断はなくてはならないものです。もしも、工事をお願いしようとしている業者が、耐震診断も行わずにいきなり補強工事の見積りや契約書などを持ってきた場合は、その業者の信頼性を疑ってみたほうが良いでしょう。
工事実績と事務所登録を確認しましょう!
初めてお会いする業者はもちろんですが、地元密着の業者であっても、耐震補強に関してはかなり専門的な知識と技術を要する工事であるため、耐震補強に関する知識や技術を持っている業者なのかどうかは必ず確認しておきましょう。その際に参考になるのが、“建築士事務所登録”はもちろん、これまでの“工事実績”を見せてもらうことがおすすめです。
また、耐震診断や耐震補強に関しては、「建築士」のような明確な国家資格が存在していないのが現状です。日本建築防災協会が開催している「耐震診断資格者講習会」の受講歴、日本木造住宅耐震補強事業者協同組合の加盟業者の「一般耐震技術認定者」等、独自の認定資格を持っているかどうかを確認すれば、より確実だと思われます。
基本的に、このような協会等が飛び込み営業で耐震補強を勧めることはありません。もし、日本建築防災協会等の名前を名乗って工事の営業に来た場合は、十分に注意し、必ず一旦確認する時間を取りましょう。なお、自治体に関しては地域防災のため、補強工事が必要とみられるお宅に訪問して、啓蒙活動を行っている場合もあります。
まずは自治体や信頼できる組合等に相談!
耐震補強工事を検討する際は、飛び込みの営業マンに相談することは控え、まず、自治体の窓口に相談することから始めましょう。自治体による簡易診断を受けたり、地元で耐震診断や補強工事を行える建築士を紹介してもらえます。
また、木造住宅に関しては、日本木造住宅耐震補強事業者協同組合(木耐協)においても、信頼できる耐震診断~補強工事を依頼することができます。「木耐協」では、【地震災害から国民の生命と財産を守るため、「安全で安心できる家づくり・まちづくり」に取り組み、耐震社会の実現を目指す】ことを基本理念としており、これまでに日本全国16万棟の耐震診断を行っています。日本全国約1,000社の工務店、設計事務所から構成されており、日々、地震災害の備えに対する啓発活動や木造住宅の耐震性能向上のための活動に邁進しています。
「木耐協」で耐震診断が行える家屋には制限がありますが(※注)、木造住宅においては、正確で確実な診断と補強工事が期待できます。
詳しくは木耐協ホームページをご覧ください。
※注 木耐協で耐震診断・耐震補強を行える家屋
・木造在来工法2階建て以下の家屋であること
・持ち家であること
・昭和25年以降平成12年5月までに着工された家屋であること
耐震診断や耐震補強工事は、特に専門性の高いものです。しっかりとした知識と経験のある業者を見極める重要性がお分かりいただけたでしょうか?
大切な自分の家を、信頼できる業者にお任せして、長く安全に住めるようメンテナンスをしていきましょう!
まとめ
・飛び込み営業の業者に「耐震補強工事」を行える業者はいない、と心得る!
・耐震補強工事を行う前に、耐震診断は必須である!
・耐震補強を考え始めたら、自治体等にまず相談!
参考・引用リンク
特定非営利活動法人建築Gメンの会・悪質リフォーム被害
一般財団法人 日本建築防災協会・耐震診断・改修工事のトラブルにご注意ください! / 住宅の無料診断の勧誘にご注意ください!
日本木造住宅耐震補強事業者協同組合・木耐協とは
日本木造住宅耐震補強事業者協同組合・耐震診断とは
高知新聞・【安芸市・芸西村 中芸5市町村編】戸別訪問で耐震機運