高潮はどのような現象であるか、お分かりでしょうか?高潮はもしかすると、津波よりも怖い災害になるかも知れません。その理由は、津波が起きる原因と高潮が起きる原因の違いにあります。そんな高潮について、詳しく解説しましょう。
津波と高潮の原因の違い
冒頭で高潮は津波よりも怖いかも・・と、お伝えしています。どうしてそうなるのか。と言うことを、これからお話しましょう。先ず津波が起きる原因は、大きな海溝型地震が原因となります。つまり、地震が起きても「海の中で巨大である」条件が必要となります。一方で高潮は、台風や低気圧によって起きるので、津波よりも頻度が多くなります。東日本大震災時のような大津波では、建物さえも流されてしまうので、一たび起きれば大災害となります。高潮被害は、建物が流されるまでの被害はないとしても、床上浸水被害を起こします。海水による浸水なので、一たび浸水すると、車や家電製品などは故障してしまいます。頻度が多い浸水被害なので、津波よりも怖いと言えるのです。
高潮発生のメカニズム
高潮の発達には、主に2つのメカニズムがあります。一つは大気圧の低下に伴い、海面が吸い上げられる「吸い上げ」と呼ばれる現象です。大気圧が1hPa低下すると、海面は約1cm上昇します。平常時の大気圧は1,013hPa程度であるため、台風の中心気圧が910hPa程度になると、台風の中心では海面が約1mも上昇しています。
二つ目のメカニズムは、海側から陸地に向けて強風が吹き続けることにより、湾の奥に海水が吹き寄せられて海水面が上昇する「吹き寄せ」と呼ばれる現象です。この「吹き寄せ」による海水面の上昇は、「風速が速いほど・湾の長さが長いほど・湾の水深が浅いほど」大きくなります。加えて、砕波する場所より岸側においては、「ウェーブセットアップ」という砕波による海水面の上昇が加わります。これらによって上昇した海水面から、陸地へと海水が溢れだし街ごと浸水していきます。海水のボリュームがけた違いに大きいので、一旦浸水が始まると、低地では浸水被害が一気に広がっていきます。
高潮による被害は意外と怖い!?
高潮被害は、単に海水が浸水するだけに留まりません。海水だけに森林や田畑には塩害が発生し、農産物に甚大な被害を及ぼします。人的被害においては、溺死や漂流物による病気の発生、家屋においては家具や家電の破損、ライフラインでも水道・電力・通信・下水道などに被害をもたらせます。高潮の被害は想像していたよりも、多くの被害をおよぼすことが分かっています。
高潮に対して危険な地域
台風時には高潮の規模は、台風の勢力、通過コースによって大きく変わります。台風は反時計回りに風が渦巻いています。台風の進行方向に向かって右側は、風が強い範囲となります。ですから、台風の進路の右側に位置する海岸では、高潮が発生しやすくなってしまうのです。国内では、東京湾・伊勢湾・大阪湾・有明海などは、高潮の起こりやすい条件を備えているので、高潮に対して最も危険な地域だと言われています。また、高潮の発生頻度は、太平洋側の湾内が圧倒的に多くなっていますが、日本海側でも起きる可能性はあります。
まとめ
・高潮は台風や低気圧によって起こる
・浸水被害や健康被害を引き起こす災害
・台風時は台風の進路の右側地域は要注意