東日本大震災の津波には日本人だけでなく、世界中の人々が震撼しました。そして、津波はとても恐ろしいものだと改めて認識されたことでしょう。ところで、「高潮」ってご存じでしょうか?実は、津波よりもこの高潮の方が怖いのです。その理由は、発生する頻度にあります。大型の低気圧や台風が停滞する度に高潮は起きているのです。今回は、高潮が起こるメカニズムを解説すると共に、その怖さについてもお伝えしていきましょう。
高潮のメカニズムについて
海面の高さはとても重要で、気圧と水圧の均衡がとれている状態が海抜0メートルとなり、この時の気圧は1気圧=1,013ヘクトパスカルとなっています。テレビなどで台風情報を見ていると、「中心気圧は980ヘクトパスカル、中心付近の最大風速は30メートルと・・」などといわれています。
「ほう、ほう」と何気なく見聞きしていると思うのですが、この台風の下では海面が約30cm以上高くなっているのです。気圧が1ヘクトパスカル下がる毎に、海面は1cm高くなるので、「1,013-980=33」ということで、30cmから33cm海面が高くなるということなのです。この現象を「気圧低下による海面の吸い上げ」などと呼んでいます。
風による吹き寄せ
低気圧や台風が運んでくるのは雨だけではなく、強風も一緒に連れてきます。強風が海から陸地に向かって吹くと、陸地に近い海面が上昇して高潮を発生させるのです。
波浪や満潮による影響
波浪とは簡単にいうと「大きな波」のことです。波が陸に打ち寄せるとその後は、海側に戻ろうとします。ですが、波が大きくなると海に戻ろうとしても、次の波がそれを遮ってしまうので、陸側に海水が溜まってしまうのです。また、地球の自転によって起こる満潮時は海面が特に高くなっているので、高潮が起こりやすくなってしまいます。
高潮が津波より恐ろしい理由とは
津波は巨大な海溝型地震が引き起こす現象です。地震大国日本といえども、そう頻繁に起こるものではありません。ですが、高潮は台風が発生する度に気を付けないとならない災害なのです。つまり、洪水や土砂災害と同じくらい発生頻度が高い災害なのです。津波もそうですが、沿岸部にお住いの方以外では高潮の被害にあわないと思われがちです。ですが、それは誤った知識であって、沿岸部から数キロ離れていても高潮被害に逢うこともあるのです。
河川を遡上して堤防から越水する
海と直接つながっているのは河川であり、海面が高くなる高潮は河川にも影響を与えます。陸に溢れる前に、河川を遡上し始めているのです。台風時には大雨も降りますから、河川に大量の雨水が流れ込んできます。増水した河川の水は海に流れようとするのですが、海から逆に水が押しよせてくるのです。そうなると海だけでなく河川の増水量が増してしまい堤防から越水して洪水をもたらすのです。堤防が決壊して河川が氾濫するケースもあります。つまり、高潮による被害は沿岸部だけではないということなのです。
まとめ
・高潮は低気圧や台風によって起きる現象
・沿岸部だけでなく海から数キロ離れていても被害にあう
・高潮被害は津波被害よりも頻繁に起きている
・気象庁の注意喚起や自治体の避難情報に気を付けて早期避難を心がけよう