各地で夏日を記録する日が増えてきました。夏が本格化するにつれて気を付けたいのは、高潮による潮位の変化です。
高潮による被害は「高潮災害」と呼ばれています。災害に対する危機意識が高まっている昨今ですから、この機会に高潮災害に関する理解も深めておきましょう。
高潮とは

高潮は台風や低気圧などによって気圧と海面水圧の均衡が崩れることにより、海面が通常時よりも異常に高くなることです。
高潮が発生すると大量の海水が防波堤を破壊または超えて押し寄せてきて、浸水や水没などの被害をもたらします。昭和34年の伊勢湾台風にともなって発生した高潮では、死者・行方不明者あわせて5012人の被害をもたらしました。高潮による災害は平成になってからもしばしば発生しており、平成11年に台風18号とともに熊本県で発生した高潮では、12名の方が亡くなっています。平成16年に台風16号の襲来とともに高松市で発生した高潮では、死者2名・浸水15651戸という被害をもたらしました。
日本における高潮災害は、台風によってもたらされることが多いという特徴があります。6月から10月にかけて高潮の原因となる台風や低気圧が増加します。高潮はまさにこれからの時期に気をつけるべき災害と言えるでしょう。
高潮の時はどのようなことに気をつければいいの?
高潮は命に関わる災害ですから、情報を収集し早めに避難行動・リスク回避行動を取ることが大事です。まずはハザードマップなどを用いて、自宅が浸水想定区域に指定されているかどうかを確認してください。気象庁は、ハザードマップで以下のように指定されている場所は立ち退き避難(指定された避難場所や安全な場所に避難すること)が必要だとしています。
・高潮時に海岸堤防を越えた波浪や堤防決壊により流入した氾濫水により家屋の流失が想定される場所
・最上階の床の高さまで浸水すると想定される場所
・半地下構造の建物に氾濫水が流入する場所
・ゼロメートル地帯などで長期間浸水が継続すると想定される場所
気象庁は高潮に関する警報(高潮注意報・警報)を発令しています。注意報や警報が発令された時は予想最高潮位を確認し、自宅が被害区域に入っている場合は予想最高潮位に応じて想定される浸水被害区域の外側に避難をしてください。
高潮は台風や低気圧とともに発生します。いざ逃げようと思った時には暴風や豪雨で逃げられないことも考えられます。気象庁は高潮警報が発表される前であっても暴風警報が発令された段階で逃げることが必要だとしています。命を守るためにも、複数の注意報・警報に耳を傾け、早めに行動することを心がけましょう。
高潮災害は浸水区域だけの問題ではない

高潮が発生している時は潮位が上がるだけでなく、高波も発生しやすくなります。こうした時に海や海岸に近づく行為は大変危険です。高波にさらわれて命を落とすリスクがあるからです。
夏は海辺のレジャーに出掛ける機会が多くなりますが、高潮災害に関する危機意識が希薄なままでいると、思わぬ事故に巻き込まれることがあります。注意報や警報をこまめにチェックし、高潮が発生している時は海にむやみに近づいてはいけません。サーフィン・海水浴・釣りなど海辺のレジャーや、波や潮位の変化を見に行く行為は絶対に控えるようにしましょう。
まとめ
・高潮とは台風や低気圧の影響で海面が上昇することである
・高潮災害は命を落とすリスクがある
・高潮注意報・警報が発令された時はハザードマップを確認し、早めの避難を
・高潮が発生している時は海に近づかない