毎年、冬季は感染症が蔓延し、そのたびに感染対策の一環として手洗いの励行などがクローズアップされています。
全ての人に共通する基本となるスタンダードプリコーション(標準予防策)について、改めて見直してみませんか?
スタンダードプリコーション(標準予防策)はけして医療従事者だけが適応されているのではありません。
ここには日常生活でも応用ができる手洗いを始め、防護具(PPE)などの説明がなされています。
スタンダードプリコーション(標準予防策)とは?
簡単に説明すると「すべての人の血液や体液を感染性があるものとして取り扱うこと」と定義されています。
そこで自分とあなたの双方を感染症から守るために行う感染対策が、スタンダードプリコーション(標準予防策)と呼ばれているのです。
手洗い方法

手洗い方法について2つに分けて説明してみます。
・手指が目に見えて汚れていない場合
アルコール製剤を用いて手洗いを行います。
・手指が目に見えて汚れている場合
普通石けんに流水を用いて手洗いを行ったり、場合によっては抗菌石けんを使用して手洗いを行うときもあります。
殺菌力の面から比較すると、消毒効果がもっとも高いのはアルコールで手指消毒した場合になっています。
手洗いの基本はアルコールなのですね。
アルコール製剤を使用する3つのポイント

①流水での手洗い後に使用する場合は、水分を十分に拭き取ってから使用すること
②十分な量のアルコールを使用すること
③1回に約20秒間以上かけて乾燥するまでしっかりと両手にすり込むこと
流水で行う手洗い手順
こちらは普段の生活でも意識せずに行なっているものですが、スタンダードプリコーション(標準予防策)にそって基本となる手洗いについて見直していきましょう。
・指先と爪の間をきれいに洗います。このとき指先は立てながら洗っていきましょう。
・両手を合わせ手のひらをこすり合わせていきます。
・次は手の甲を伸ばすように洗います。
・手のひらから手の甲を洗ったら、指の間をきれいに洗っていきます。
・片方の親指と片方の手掌をねじり洗いしていきます。
・最後は両手首のねじり洗いも忘れずにおこない流水で洗い流していきます。
手洗いで洗い残しが多い部位
あらためて手洗いで洗い残しが多い部位をおさえておきましょう。
親指:56%
指の背面:26%
手の甲:24%
指の間:16%
手のひら:16%
余談ですが、私は院内で感染対策の一環として、自分の手洗いについて振り返る機会がありました。
自分の手洗いを画像でチェックしたところ、私は手背の指間に手洗いミスがたくさんありました。
時間をかけて丁寧に洗っていたつもりでも、これだけの手洗いミスがあるのだと、改めて見直すことができました。
手洗いに必要な時間

実際、手洗いにかける時間は、医療従事者でも約10秒以下であるといわれています。
石けんと流水による手洗いで残存細菌数が微量になるのは約30秒以上かける必要があり、どれだけ無意味な手洗いになっているのか痛感しなければいけません。
感染対策を意識した手洗いにしていくためには、上記の手洗い手順を身に付け、そして約30秒以上かけて丁寧に手洗いをしていく必要があるのです。
それでスタンダードプリコーション(標準予防策)の意義が有用になってくるのです。
日常生活で手洗いをするタイミング
手洗いは一般的な感染症の拡大を防ぐ基本的な有効手段です。
手洗いをするベストなタイミングは
・食事を作るときと食べるとき
・生ごみを扱ったとき
・ペットの世話や動物に触れたとき
・咳やくしゃみ、鼻をかんだとき
・幼児や高齢者のオムツ交換やケア処置の前後
・トイレの使用後
・傷の処置や病気の人を看病する前後など
感染防止は手洗いから始まると言われています。
正しい手洗い手技を普段の生活から練習し意識していくことが、感染対策の基本となっていることを理解していきましょう。
まとめ
・スタンダードプリコーション(標準予防策)を理解する
・手洗いの基本はアルコールである
・基本となる手洗いを身に付ける
・手洗いで洗い残しが多い部位を意識する
・1回の手洗いは約30秒以上かける
・手洗いをするベストなタイミングを理解する