手足口病は夏に流行する感染症の一種です。2019年7月現在、過去10年間で最大規模の流行を見せており、今後も注意が必要です。
手足口病とはどのような感染症なのでしょうか。症状、看病の注意点、感染防止法について解説します。
手足口病の症状

手足口病とは、コクサッキーウイルスA6・A16、エンテロウイルス71などのウイルスによって引き起こされる感染症です。流行時期は夏場であり、7月下旬ごろがピークになります。
手足口病の潜伏期間は3~5日程度と考えられています。発症すると足の甲、足の裏、口の中に2~3ミリ程度の水疱性の発疹が現れ、3割の患者が発熱を伴うことが報告されています。
症状は数日から1週間程度で消失しますが、ウイルスの型によってはまれに髄膜炎や心筋炎などの合併症を引き起こすことがあるため、注意が必要です。
手足口病は乳幼児の病気?大人もうつるの?

厚生労働省の発表によると、手足口病患者の約9割は5歳以下の乳幼児です。乳幼児が感染しやすいのは、保育園や幼稚園などの集団生活で、濃厚な接触が起こりやすいからだと考えられています。
手足口病は患者の大半が乳幼児であるものの、乳幼児以降の子どもや大人に感染しないというわけではありません。筆者は10歳の時に感染した経験があります。防仁学執筆者のS.Haruさんは、手足口病に感染したお子さんを看病している際に、ご自身も感染した実体験を報告しています。また、筆者の家族(50代)は、家庭内に手足口病患者がいない中で感染した経験があります。
手足口病は乳幼児以降の子どもや大人でも感染する病気であることを理解し、流行の時期は感染防止策をとるとともに、子どもが手足口病にかかった際は、看病する側が感染しないように気を付ける必要があると言えるでしょう。
手足口病の感染予防法とは
手足口病の感染経路は「飛沫感染」「接触感染」「糞口感染」と考えられています。ワクチンによる予防法・薬による予防法はありません。そのため、一般的な感染症予防対策を徹底することが、最大の予防法であると言えます。
手洗い・うがいは日頃から徹底しましょう。洗った手を拭く際のタオルは、患者と分けてください。子どもの看病をする時など患者と接触する時は、マスクを着用しましょう。
手足口病のウイルスは、呼吸器官からだけでなく、回復後2~4週間に渡って便の中にも排出されます。したがって、赤ちゃんのオムツをかえる時にも、感染予防対策をとる必要があります。使用済みのおむつは密閉して速やかに処分し、交換後はいつも以上に手をよく洗いましょう。
看病の注意点

手足口病は一週間程度で回復する病気です。しかしながら、まれに髄膜炎・脳炎などの中枢神経系の合併症や、心筋炎・神経原性肺水腫・急性弛緩性麻痺といった重篤な症状を引き起こすことがあります。嘔吐、頭痛、高熱が出る、発熱が2日以上続く、意識が朦朧としている、尿量が減少しているといった症状がある場合は、速やかに医療機関を受診しましょう。
手足口病に感染すると口腔内に水疱ができ、強い痛みが生じます。そうなると、食べ物や飲み物を摂取することが困難になり、脱水症状に陥る危険があります。脱水を回避するために、刺激の少なくのど越しがよい飲み物(麦茶や牛乳など)を、ゆっくりと少しずつ与えてあげてください。食事も噛まずに食べられるもの(ゼリー・プリン・おかゆなど)を与えるようにしましょう。飲み物や食べ物を受け付けない、ぐったりしている、尿量が減少しているといった症状がある場合は、医療機関を受診してください。
手足口病の子どもを看病する時は、子どもの様子を注意深く観察し、症状の変化をいち早く発見することが大事なのです。
参考サイト
◆厚生労働省「手足口病に関するQ&A」
◆防仁学「手足口病の症状とは?子どもよりも大人の方が感染すると深刻? その症状と予防について」