大きな災害が発生した時に、現場で活躍する人たちをイメージしてみてください。恐らく、消防隊・レスキュー隊・自衛隊などをイメージしたことでしょう。ですが、災害時に大きな活躍をしてくれる方達は、まだ存在します。それが「TEC-FORCE(緊急災害対策派遣隊)」です。今回は、TEC-FORCE(緊急災害対策派遣隊)について、ご紹介していきましょう。
TEC-FORCE(緊急災害対策派遣隊)とは
国土交通省に設置された「緊急災害対策派遣隊」を、TEC-FORCEと呼んでいます。平成20年4月に大規模自然災害への備えとして、迅速に地方公共団体等への支援が行えるよう創設されました。TEC-FORCEは、大規模な自然災害等に際して、被災自治体が行う被災状況の迅速な把握、被害の拡大の防止、被災地の早期復旧等に対する技術的な支援を、円滑かつ迅速に実施することを目的として行動します。国土交通本省の災害対策本部長等の指揮命令のもと、全国の地方整備局等の職員が予め指名されており、平成30年4月1日現在で、9,663名が隊員として登録されています。
どちらかと言うと「縁の下の力持ち」的存在
TEC-FORCEの存在は、現場では目立っていません。災害の救助現場ではTEC-FORCEは裏方に徹しています。混乱する災害現場で必要なのは、避難所運営のサポートや被害の拡大防止、二次災害の防止も重要な役割となり、TEC-FORCEはこれらの役割を担っています。なので、メディアにはあまり取り上げられないので、存在自体を知らない方が多くいる訳です。
被害状況の全容把握と早期復旧のサポートが主な役割
TEC-FORCEは被災地が一早く復興期に入れるよう、被害状況の全容を把握し早期復旧のサポートをしています。例えば、2021年7月15日に起きた熱海市逢初川の土砂災害では、砂防班が現地で調査を行い、被災状況調査結果をとりまとめ熱海市及び熱海土木事務所へ説明し、報告書として提出しています。災害時には被災地をかかえる自治体ではマンパワーがどうしても不足してしまいます。そこで、TEC-FORCEが派遣されて行政のサポートを行ってくれます。その力は被災者の方達の目には、直接触れることはないかも知れません。ですが、被災地のために活動しているのは間違いないのです。近年でのTEC-FORCEの派遣回数は、令和元年が13回と最も多く、派遣延べ人数は35,782人に達しています。令和2年はそれよりは落ち着いた状態で派遣回数7回、派遣延べ人数は12,630人でした。令和2年の派遣で最も多い災害は、7月の各地で起きた豪雨によるもので、この災害で10,606人が派遣されています。
令和3年の活動実績
直近となる令和3年の活動実績としては、令和3年7月1日からの大雨への派遣です。この時には、中部、九州、中国地方の14県20市町村へTEC-FORCEを派遣。リエゾン活動、ドローン等による被災状況調査、排水ポンプ車による浸水排除などの自治体支援を実施しています。先に触れている熱海市の災害では、土砂災害専門家により斜面の崩壊の危険性や、雨天時の捜索活動を中止する判断基準等を助言し、渓流の最上流部(源頭部)等4カ所に監視カメラなどを設置し、監視体制を強化。関係機関へライブ映像を配信するサポートを行っています。また、ドローン班(4班16名)を投入し、安全かつ迅速な調査を実施して、この映像も各機関で共有しています。
令和3年8月の大雨での派遣では、関東・北陸・中部・近畿・中国・四国・九州の36県内の484市町村とホットラインを構築し、この内近畿を除く20県27市町へTEC-FORCEを派遣しています。活動内容は、ドローンを駆使した迅速な被災状況の把握・防災ヘリによる広域被災調査・排水ポンプ車による浸水排除・被災状況調査を行い、報告書を行政の首長に提出しています。このように、ニュースでは報道されない所で、TEC-FORCEは活動を続けています。
まとめ
・TEC-FORCE(緊急災害対策派遣隊)とは、国土交通省に設置された「緊急災害対策派遣隊」
・「縁の下の力持ち」的存在で自治体をサポート
・災害が起きればTEC-FORCEが派遣されて活動している