2022年3月22日、東京電力管内の電力需給が厳しい状況に陥りました。政府が「電力需給ひっ迫警報」を発令し、東京電力管内の都県に大規模な節電が呼びかけられたことは、記憶に新しいのではないでしょうか。
電力需要が供給を超えた場合には、大規模な停電が起こると予想されています。大規模停電が起こったときは、どのような備えがあれば安心なのでしょうか。日頃から準備しておきたいことについてお伝えします。
大規模停電のリスク
2018年9月6日3時7分、北海道胆振地方で、最大震度7を観測する地震が発生しました。この地震によって火力発電所、水力発電所、風力発電所が停止し、電力需要と供給のバランスが崩れた結果、地震発生から17分後に北海道全域で大規模な停電が発生しました。この停電は約11時間にわたって続き、最大で295万戸が影響を受けています。停電の影響は水道施設にも及び、約7万戸が断水する事態も発生しました。
このように、電力会社の管轄するすべての地域、もしくは管轄内の非常に広い地域において大規模な停電が発生することを「ブラックアウト」と呼びます。ブラックアウトのリスクは災害発生時だけでなく、何らかの理由によって発電所が停止したときや、電力需要が高まる冬場などでも起こる可能性があります。2022年3月22日の「電力需給ひっ迫警報」は、3月16日に発生した地震によって福島県にある火力発電所が停止したことや、天候不良によって太陽光発電による発電量が期待できないこと、さらには寒さによって電力需要が高まるなど複数の要因が重なり、ブラックアウトが強く懸念されたため発令されました。
大規模停電のリスクは身近に潜んでいるからこそ、日頃から備えることが肝心なのです。
停電に備えてできること
①灯りの確保
大規模停電が起こると辺り一帯の電気が一斉に消えます。夜間に起こった場合は自然光が全く差し込まなくなるため、暗闇の中で行動しなければなりません。暗闇の中で動くことは、転倒や物にぶつかってケガをするリスクを高めます。身を守るためにも、灯りをしっかり確保しておきましょう。
部屋全体を照らすことができるランタンや、広い範囲を照らすことができる大きめの懐中電灯がおすすめです。筆者の家では深夜帯の停電に備え、それぞれの枕元にも懐中電灯を置いています。ろうそくは火災のリスクがあるので、必ずランタンや懐中電灯を準備しておきましょう。電池切れに備えて、予備の電池(乾電池など)も合わせて備蓄しておくと安心です。
②モバイルバッテリー
スマホ・携帯電話は、情報収集や安否確認に必要です。電池切れを起こさないためにも、モバイルバッテリーを準備しておきましょう。自宅で使用する場合は持ち運ぶ必要がないため、複数回の充電に対応している大容量のものがおすすめです。持ち歩く場合は、重さや大きさを考えて準備しましょう。
③食料
停電中は電子レンジやIHコンロを使用することができません。電気を使わなくても食べることができる食料を準備しておきましょう。缶詰、レトルト食品、アルファ化米、日持ちするパンなどがおすすめです。
カセットコンロを準備しておくと、お湯を沸かしたりレトルト食品を温めたりすることができ、食事の幅が広がります。発熱剤なども準備して活用してみましょう。
④ラジオ
スマホの電池残量を温存するためにも、他の情報収集手段を確保しておきたいところです。
ラジオは大規模停電中でも他の地域から情報発信をしてくれるため、一台準備しておくと安心です。
⑤断水への備え
停電の影響により水道設備が停止すると断水が起こります。マンションなどは、高層階まで水を供給するポンプが停電の影響で停止することがあり、より注意が必要です。
停電による断水に備えるためには、日頃から飲料水と生活用水を準備しておくことが大切です。飲料水は通常の災害時と同じように3日分用意しておきましょう。市販のミネラルウォーターを活用すると簡単です。生活用水は水道水をポリタンクなどに入れて備蓄しておきましょう。
トイレが使えなくなることも想定し、簡易トイレを準備しておきましょう。簡易トイレがない場合は、ビニール袋と新聞紙で対応します。
⑥防寒・冷感用品
停電中は暖房器具や冷房器具が使えなくなります。長時間に渡って使えなくなることも予想されるため、防寒用品や冷感用品をしっかり準備しておきましょう。
防寒用品は、使い捨てカイロ、毛布、アルミシート、フリース、ダウン用品(ダウンジャケットやダウンベストなど)などが一般的です。寒冷地に住んでいる場合は、乾電池式の石油ストーブやカセットストーブなどを準備しておきましょう。
冷感用品は、瞬間冷却材、乾電池式(または充電式)の扇風機、クールマフラータオルなどを準備しておきましょう。
まとめ
・大規模停電(ブラックアウト)のリスクは身近にある
・ランタンや懐中電灯で灯りを確保し、ケガの防止に努める
・モバイルバッテリーを準備し、スマホの充電を行えるようにしておく
・電気を使わなくても食べられる食料を備蓄しよう
・ラジオを使って情報収集をする
・飲料水、生活用水、簡易トイレを準備し、断水への備えも行っておく
・寒さ、暑さへの対策も行おう