新型コロナウイルス(COVID-19)の流行によって、リモートワークの重要性も叫ばれるようになりました。
しかし公務員の間にあっては、未だにこのリモートワークは浸透しているとは言い難い現状があります。
それについてみていきましょう。
公務員のリモートワーク実施率は16パーセント以下
デロイトトーマツの「行政組織における在宅勤務実施状況・業務効率化における調査2020」において、「公務員でリモートワークを実施している」と答えた層はわずか15.9パーセントとなっています。
また、リモートワークを導入しているところであっても、そのうちの67.4パーセントが「実際にはリモートワークをしていない」と答えており、リモートワークを週4回以上していると答えた層はわずか2.5パーセントと極めて少数でした。
また、「そもそも業務用パソコンの持ち帰りが許可されていない」と答えた層は全体で62.5パーセントに上っています。「社内のネットワークにアクセスができる」と答えた層はわずか16.3パーセントです。
これは「国と都道府県、市町村の3つの分類を合わせたときの平均値」であり、「市町村」だけに限って言えば、実に71.9パーセントが「持ち帰り不可」、「社内のネットワークにアクセスが可能」とした層は8.6パーセントにとどまっています。
セキュリティと感染防止のはざまで
全体の80パーセント近くが「リモートワークを」と望んでいるにも関わらず、このような数値になっているのには理由もあります。
理由を探るときには、「役所は頭が固くて新しいことを導入したがらないから」という意見を掲げる人も多くみられます。しかし公務員が扱うデータはパーソナルデータと直結していることが非常に多く、セキュリティ面の不安からリモートワークが進んでいないという実態もあります。
このため、実際に注目すべきは、「いかにしてセキュリティ面を強化していくか」でしょう。
現在はこの取り組みも進められており、「自治体テレワーク推進実証実験」などが2020年の11月から取り入れられています。
セキュリティと感染防止の両立は、一朝一夕で成り立つものではありません。
しかし現在はその方法が模索され、また実践され始めているということは事実です。
まとめ
・公務員のリモートワーク実践率は低い
・これには、「セキュリティと感染防止を両立できるか」が大きく関係している
・しかし2020年の秋からは、より実践的な取り組みも進んでいる
参考サイト
◆J-LIS「(全体運用の開始)「自治体テレワーク推進実証実験」について」
◆デロイトトーマツ「行政組織における在宅勤務実施状況・業務効率化における調査2020」