「特殊詐欺」というと、真っ先に思い浮かぶのは、振り込め詐欺の一種類である「オレオレ詐欺(母さん助けて詐欺)」でしょう。
しかし特殊詐欺には、それ以外にもさまざまな種類があります。
今回は「振り込め詐欺」と「それ以外の特殊詐欺」のうち、後者に分類される「金融商品(等)取引名目」について取り上げましょう。
金融商品等取引名目とはどんなもの?

「金融商品等取引名目」とは、詐欺の一種です。
これは、実際には実態のない有価証券や外国通貨、未公開株などの購入を電話などで勧めるものです。
「絶対に儲かるから投資を」
「あなたに対してだけ行う特別な案内だ」
「元本割れは絶対にしない」
「後で、2倍以上の金額で買取りをするから安心して買ってほしい」
などと勧誘をかけてきます。
これにだまされてお金を振り込んだら、それがそのまま「被害」となります。詐欺と気付かせないように、実際にはまったく意味のない権利証などを送ってくる悪質な業者もいますが、当然これには利用価値はありません。
ちなみに、たとえその金融商品が実態のあるものであっても、金融商品取引業者が「利益は絶対にあがる」などと言った場合は、金融商品取引法38条1号・2号に反する違法行為と判断されます。不当勧誘であるとみなされるのです。
名義貸しにも気を付けて

金融商品等取引名目と関連付けて警戒したいのが、「名義貸し」です。
「○○を購入したいのだが、それを購入できるのは限られた人だけ。名前だけを貸してほしい」
「絶対に迷惑をかけないので、名義だけを貸してほしい」
などのように持ちかけてくるものです。
名義貸し自体違法であり、6か月以下または100万円以下の罰金になります。また、金銭的な被害を受けることになったり、「名義貸しは違法だ。ばらされたくなかったら預貯金を払え」と言われたり、「実績作りのために実際にいくらか払ってほしい」などと迫られたりすることもあります。
非常にリスクの高いことであり、絶対に行ってはいけません。
まとめ
・「金融商品等取引名目」とは、「絶対儲かる」などのように言って実態のない有価証券などを売りつける詐欺などを指す
・実態があるものであっても、金融商品取引業者が、「利益が確実にあがること」を約束して売りつけるのは違法行為である
・「名義だけを貸してほしい」と言ってくるやり口もある。
・名義貸しはそれ自体が違法だが、その後にさまざまなトラブルを伴う場合も多い
参考サイト
◆警察庁:「金融商品取引名目」
◆大阪府警察:「特殊詐欺関係情報」
◆長谷川正太郎法律事務所:「違法性が認められるポイント」