「現在の特殊詐欺の状況」は、「特殊詐欺、現在の認知件数」で触れた通りです。
平成29年の段階でも、単純計算で、1日に50件ほどの特殊詐欺が行われていると認知されています。
それでは、昔と比べるとこの数字はどのように変化していっているのでしょうか?
実は振り込め詐欺は年々増加傾向にある

「いっぱいニュースで流れているから、減っていっているのではないか」
「何かと警鐘を鳴らしているが、実際にはそれほど件数は多くないのではないか」
と考える人もいるかもしれません。実際、同じ「犯罪」である飲酒運転などは、啓蒙と法律の強化もあって、右肩下がりに発生件数も死亡事故割合も減っていっています。煙草についても同じことがいえますが、「良くないこと」「危険だ」と多くのメディアが取り上げることによって、発生件数などが抑えられるのはよくあることです。
しかしながら、振り込め詐欺の場合は例外です。
振り込め詐欺は、平成29年の段階で、合計で17,926件も起きています。対して、平成22年の6,637件しか起きていません。ここ7年間で2.7倍以上になっているのです。
平成24年に限ればやや件数が少なくなりましたが、基本的には振り込み詐欺の発生件数は右肩あがりの様相を呈しています。
振り込め詐欺以外の特殊詐欺の場合は減少傾向に

対して、振り込め詐欺以外の特殊詐欺の場合は、認知件数は減少傾向にあります。
平成23年~平成27年の間に見られた(特に平成24年~平成26年が多い)金融商品等取引名目の詐欺も、平成29年には一番多かった年の19分の1程度に落ち着いています。過去7年間のなかでは、過去7年間で最低だった平成22年とほぼ並ぶような数字となっていて、件数も少なくなっているのがわかります。
振り込め詐欺の場合は、平成28年に比べて32パーセントほども増加しているのに対して、振り込め詐欺以外の特殊詐欺の場合は48パーセントも減少しています。もちろん後者についても十分に気を付けるべきですが、被害者となる確率が高いのは、やはり振り込め詐欺の方だといえるでしょう。
まとめ
・さまざまなところで警鐘が鳴らされているが、振り込め詐欺は年々増加している
・平成29年は、前年に比べて32パーセントも認知件数が高くなっている
・平成29年は過去で一番大きい数字である
・振り込め詐欺以外の特殊詐欺は大きく減少傾向にある
・振り込め詐欺以外の特殊詐欺は前年に比べて48パーセントも減少しており、被害額も半分程度になっている