1996年2月10日、北海道にある豊浜トンネルにて突如天井が落下し、路線バス1台と乗用車1台が潰され、20名の命が奪われるという落盤事故がありました。
トンネルに横たわる巨大な岩盤が救助の妨げとなり、取り除かないと埋もれた車両を確認する事も危険な事故だったのです。
今回はトンネル落盤事故の一例として豊浜トンネル落盤事故から学ばれる教訓を考えてみました。
事故の経緯
巨大な岩盤を取り除くのに苦渋
豊浜トンネルは1984年に竣工された比較的新しいトンネルでした。
しかし、完成からわずか12年後にトンネル上部にある巨大な岩盤が落下、内部を通行中の車両を押しつぶして道を塞ぎました。
体積約1万㎥、重量2万7000tに達する巨大な岩盤を土木機械などで取り除く事は不可能に近く、爆薬を用いて破砕するという異例の事態となりました。
しかし、爆破するには岩盤が柔らかすぎた為と中に取り残された人に影響が及ばないよう爆薬量が制限された関係で、1度目の爆破は失敗。
2度目以降は連続で爆破する事が考えられ、4度目の爆破でようやく岩盤を崩落させました。
賢明な救助活動が行われましたが、被災者を発見できたのは発災から1週間たった16日の夜で、残念な事にバスの乗客乗員および乗用車の方々共に亡くなられていました。
原因と教訓
トンネルの耐久性
豊浜トンネル落盤の原因は元々柔らかい岩盤内部に亀裂が走り、地下水や海に近いという地形上の特性からくる環境の変化、冬場の凍結などが積み重なり崩落に繋がったとされています。
元々、土砂災害があった土地でもあり、地質的には不安定な土地ではありました。
この事故によって新しいトンネルであっても、的確な調査と対策が行われていなければ落盤事故に繋がるという教訓が残されました。
現在、崩落事故を起こした現場は封鎖され現在は途中から別のトンネルと合流する形で道路が繋がっています。
豊浜トンネル落盤事故をきっかけに北海道では各地のトンネルの安全確認が行われましたが、今も安全に問題があると考えられるトンネルは全国にあります。
補修工事が必要な箇所もあり対策が急がれています。
トンネルを運営する側が事故を防ぐ為に努力を払うのは当然ですが、利用者側も注意を払えればなお良いです。
例えば明らかに老朽化し通行する車も少ないトンネルは、他に迂回ルートがない場合を除いて通らないようにするといった心がけも良いかと思います。
もしもトンネルの天井を走る亀裂を確認したり、砂が落ちて来る事があれば、出来るだけ早くトンネルから出て警察や道路公団に通報しましょう。
トンネルの崩れる兆候の可能性があります。
豊浜トンネルでも、事故が発生する直前に通過したドライバーが近くの公衆電話から以上を通報していました。
小さな兆候を逃さない様にする事が大切ですね。
まとめ
・豊浜トンネルは巨大な岩盤がトンネル内へ崩壊してきた
・元々、土砂災害が起こり易い場所に作られていた
・天井に亀裂が走ったり、砂が落ちてきたらすぐに出て通報しよう
参考サイト
◆豊浜トンネル崩落事故発破作業現場からの報告 建設グラフインターネットダイジェスト
◆北海道豊浜トンネル事故とその後の対応 東京大学大学院情報学環・学際情報学府廣井研究室