地震は人の命を危険にさらし、人の財産を奪い取り、一瞬で多くの人の生活を壊します。
日本に住んでいる以上、この地震とは無縁ではいられません。
地震の際に、自分の財産や命が危険にさらされるのは、大変怖いことです。
しかし、災害時に起きる被害はそれだけではありません。
自宅の壁が崩れ、それがお隣さんの家の塀や壁を壊してしまうこともあります。
このような場合は、賠償責任などはあるのでしょうか?
災害時の家屋の倒壊、責任はどこにある?
災害時に家屋が壊れ、その壁がお隣さんの塀を壊してしまった。
地震のときに落ちた瓦が、お隣さんの壁を大きく傷つけてしまった。
このようなことがあった場合、その責任はどこにあるのでしょうか。
実はこのような場合は、損害賠償をする必要はありません。天災による被害というのは読み切れるものではありませんし、家主が管理できるものではないからです。
このため、地震や台風などで相手の家が損害を受けたとしても、それを直す費用を渡す必要はないのです。
「地震で自分の家が壊れ、家族もけがをした。そのうえ、隣の家も直さなければ……」などということにはならないので安心してください。
それでも保険には入っておこう
ただ、「災害時に起こったことだから、絶対に賠償をしなくてもよい」というわけではありません。例外もあります。
たとえば、以前から塀が崩れたり、傍目から見ても明らかに不安定な家の状況で、かつそれを指摘されていたにも関わらず何ら対処をしていなかったりした場合。このようなケースでは、損害賠償を払う必要が生じる可能性があります。なぜなら、民法によって、「所有物に瑕疵があって、それによって人の財産を傷つけた場合は、賠償しなければならない」とされているからです。
また、たとえ損害賠償が発生しなかったとしても、当然速やかに状況の収拾に努めることが望まれます。そのため、これを保障してくれる「地震保険」に入っておくと非常に安心です。
「損賠を賠償する必要はない」とされていますが、その後もそこに住み続けていくのであれば、我関せず、まったく処理をしない……というのも、心情的にはできにくいでしょう。
もちろん、壊れたもののなかにはお金で直せないものもあります。しかし、お金があれば事態の収拾は容易になりますし、その分お隣との感情的な摩擦も少なくて済みます。
まとめ
・原則として、地震などの災害時による家の倒壊で、隣人の家を傷つけても賠償はしなくてよい
・ただし、災害時の前から警告されていたり、明らかな瑕疵があったりする場合はこの限りではない
・地震保険に入っておくと、災害時に役立つ
参考サイト
◆小笠原六川国際総合法律事務所「土地・建物所有者の問題(文責:弁護士 鴨田 視寿子)」
◆損保ジャパン日本興亜「「地震保険」加入は、必ず「火災保険」とセットでご検討ください!」
◆エコリフォーム「Q. 地震で自宅が隣の家に倒れ掛かってしまったら?