小池百合子東京都知事が進める豊洲新市場への移転問題における土壌汚染原因究明にて、東京都中央卸売市場はベンゼン・シアン化合物・ヒ素・鉛・水銀・六価クロム・カドミウムという化学物質が2008年の調査により検出されていた事を発表しています。
これらの物質のうちベンゼン・シアン化合物・ヒ素・六価クロムがどの様な性質を持っているのか代表的な物を調べてみました。
前回の記事>豊洲市場移転問題で土の中から見つかった物質とは-1「汚染の経緯」
ベンゼン
都市ガス製造時発生する引火性のある物質
ベンゼンとは原油に含まれる基本的な化合物の一種で、液体の時は無色透明で引火性と甘い香りを出す事が特徴です。
タバコの煙にも含まれる物質で炭素が含まれる物質が不完全燃焼を起こす時に発生します。
豊洲にかつてあった東京ガスの都市ガス製造過程で石炭を加工する際に発生する物質でした。
有機溶液として昔は使われていましたが毒性がある為日本では使われなくなり、他には爆薬や医薬品、殺虫剤などに使われる場合があります。
発がん性がある為、白血病などの病気を招くリスクがあります。
土壌や地下水に溶け込んで汚染を引き起こす物質です。
シアン化合物
非常に毒性が強い物質
9月20日に都議会に参加している公明党が豊洲新市場の地下空間に溜まっていた水から「シアン化合物」を検出したと発表しました。
シアン化物イオンという塩を含む物質をシアン化合物といい、工場などで使われます。
代表的な物にシアン化カリウムという物質がありますが、推理小説などで青酸カリと呼ばれる物質と同じです。
工場でよく使われる物質の為、東京ガス工場跡地である豊洲新市場予定地の地下から出てきても不思議ではありません。
少ない量でも致死量となる場合があり、致死量を摂取した場合1分程度で呼吸器のマヒや失神、痙攣を引き起こして死に至る場合があります。
解毒方法も存在しますが、揮発性があり汚染が広まる可能性やより高濃度の汚染土壌が地中にある可能性が指摘されており、調査が必要です。
ヒ素
防腐剤に使われる事もある毒性物質
ヒ素の元素記号はAsです。
外見によって灰色ヒ素・黄色ヒ素・黒色ヒ素に分けられますが、いずれも発がん性のある有毒物質で飲み込んだ場合は消化器官が脅かされ吐き気や嘔吐、激しい腹痛を引き起こし急性中毒の場合は死に至る場合があります。
1998年にあった和歌山毒物カレー事件ではヒ素が犯行に用いられました。
長期間摂取すると、慢性ヒ素中毒という症状に掛かり、皮膚炎や色素の沈着といった外見上の病から骨髄や神経系の病、腎不全といった消化器系の障害を引き起こします。
昔はネズミ駆除剤や木材の防腐剤として多用されていた為、豊洲の移転候補地より検出される可能性は充分にあります。
六価クロム
酸化作用によって害を及ぼす
クロムという金属物質はサビにくい物質なので、鉄と一緒に加工してステンレスという金属にされます。
しかし六価クロムは自然界に存在する三価クロムを高熱で加工する際に発生する物質で、酸化した自らが他の有機物に接触した際に、相手を酸化させる事で三価クロムに戻ろうとする性質があり強い毒性を持っています。
その為、長時間触れると皮膚炎や腫瘍を引き起こし、粉末を吸引してしまうと肺がんといった呼吸器系の病に繋がります。
六価クロムは地盤強化剤として埋め立て地の造成時に使われた過去があり、1954年に埋め立てられた豊洲の東京ガス工場跡地にも大量に埋まっていた事が想定されます。
これらと同様に工場では鉛や水銀、カドミウムといった金属性中毒を引き起こす物質が使われており、今後の小池都知事が指導する調査で豊洲新市場予定地の土壌汚染がどれだけ残されているのか究明されていく事が期待されます。
まとめ
- ベンゼンは石油系の有毒物質
- シアン化合物は過去無差別毒物事件にも使われた猛毒
- 六価クロムは埋め立て地に広く使われた有毒物質