2016年11月9日、第45代アメリカ合衆国大統領として、実業家のドナルド・トランプ氏が就任する事が決まりました。
以前から過激な発言が外交関係の問題としてが取り沙汰されていますが、一方で彼が運営する不動産物件はセレブが暮らす超高層ビルなどが数多くある事で知られています。
日本でも現在放送されているドラマ「砂の塔」で高級高層マンションでの生活が描かれており、マンションの高層化と高層マンションへの「憧れ」は世界中に広がっています。
しかし高層マンションや高層ビルで万が一火災などがあった場合は、どの様なリスクがあるのでしょうか?
今回は、代表的な「トランプ物件」であり「超高層ビル」でもあるニューヨークの「トランプ・タワー」を例にして火災があった場合のシミュレーションをしてみます。
トランプ・タワーとは
高さ202mの超高層ビル
トランプ・タワーはニューヨーク市マンハッタンの都心部に建つ超高層ビルで、各種高級ブランドのショップや企業のオフィス、高級マンションとして建設されました。
世界中にある数多くの「トランプ物件」を総称して「トランプ・タワー」と呼びますが、マンハッタンのこのビルは正式名称が「トランプ・タワー」といいます。
1983年にオープンした58階まであるビルの中には5階分を突き抜けるアナトリウムを流れる滝や、2階分のフロアを用いた居室など大胆な間取りとなっています。
居住者にはミスUSAやミス・ユニバース、ビヨンセ、有名スポーツ選手……といったセレブ層が名を連ねています。
地下や低層階にあるショップではトランプ氏にまつわるグッズが販売されているのも、自己顕示欲が高い彼の保有する物件らしい特徴です。
ビル火災のシミュレーション
映画「タワーリング・インフェルノ」の世界
トランプ・タワーの様な高級マンションには憧れが強くある一方で、災害や火災の時に対する備えが気になってしまいます。
日本で1975年に公開されたパニック映画「タワーリング・インフェルノ」では、高層ビル火災の恐怖が克明に描かれていました。
高層ビルの火災には、低層階で起きる火災と高層階で起こる火災の2パターンがあります。
トランプ・タワーで例えるなら、飲食店等も入る低層階で火災が起きた場合、高層階の人々は火が燃え広がる前に停電時も使え外に直結する非常用エレベーターで脱出するか、比較的低い階から梯子車で救助して貰ったり脱出用シュートを用いたりする必要があります。
それでも逃げきれない場合は、ビル屋上からヘリで脱出するという方法になります。
上へ逃げるか・下に逃げるかは非常に難しい判断が迫られる問題です。
火元の位置と自分の現在地を照らし合わせて、より早く脱出できる方法を選択するよりほかありません。
超高層ビルの火災から助かるためには、消火の可否を別にしてとにかく迅速に避難することが求められます。
もう一つの高層階で起こる火災はビル全体に影響を及ぼす可能性があることを考慮に入れなくてはなりません。
これは火災によって梁などの構造物が崩れ落ちる事で上下のフロアに負荷がかかり、最終的には上層階からの重みに耐えきれずビル全体が崩壊してしまうというものです。
2001年9月11日に発生したアメリカ同時多発テロの時に旅客機が衝突した世界貿易センタービルが崩壊した際も同様の現象が起きたと考えられています。
トランプ・タワーでは吹き抜けなどの構造的に重さに弱いと考えられる場所がある事や、個人の要望によって部屋の内装が変えられるので火災の際に重大な結果を招く恐れがあります。
個々の火災に対する備えが大切です。
高層階で発生した火災の場合も迅速な消火と共に素早い避難が大切になりますが、高層階から避難するためには当然ながら低層階よりもかなり時間がかかります。
40階・50階以上のビルを降りる際には革靴やヒールは不向きですので、たとえそこが職場であってもスニーカーなど動きやすい靴を備えておいた方が良いでしょう。
高級タワーマンションや高層ビルは憧れの対象ですが、高層であるがあるが故に火災が発生してしまうと避難時のリスクが大きいのも事実です。
入居を考える時はしっかり防火対策や避難方法が複数確立されているか、しっかり確認する様にしましょう。
まとめ
◆高層ビルでは火災が発生してしまった場合、リスクが大きい
◆迅速な避難が何よりも大切。複数の避難方法を確認しておくこと