みなさんは、津波が発生する仕組みやどのように高さを計測するのか等、ご存知でしょうか。ジェット機並みの速さと威力で襲いかかる津波。今後発生する可能性があるとされる日本海溝・千島海溝沿いの巨大地震では、北海道と岩手県の一部地域で30m近くの津波が到達するという予測がされています。30mはビルの7〜8階の高さに相当します。津波高が30mとは、俄に信じがたい数値かもしれません。
津波の高さを表す言葉には、津波高や遡上高(そじょうこう)などがあります。2011年3月11日に発生した東日本大地震では、福島県の一部地域で9.3m 以上、岩手県の一部地域で8.5m 以上の津波の高さが観測されました。遡上高は40.5mとなり、国内観測史上最大です。
防災意識を高める為にも、今回は津波の仕組みについて詳しくご紹介いたします。
津波が発生する仕組み
津波が発生する仕組みですが、まず地震による海底面の動きで海水全体が変動し、波が発生します。波は大きくなり、四方八方に広がります。そして海水全体がジェット機のような速さで、連続的に押し寄せます。これが津波です。津波は震源が陸地に近いほど早く到達し、水深が浅くなると速度は遅くなります。
津波は地震との関わりが大きいでしょう。地震の規模に比例して、津波の規模も大きくなるのです。
遠方で地震が発生した場合、揺れを感じないことがありますが、それでも津波には気を付けなければなりません。平成19年にペルーで発生した地震では、20時間以上かけて太平洋を横断し、日本に津波が到達しているからです。この時は波が複雑に変化しながら、後続波が何度も日本に来襲しています。
また以前は津波が発生する前には潮が引くと考えられていましたが、潮が引かずに波が海岸に押し寄せることがあります。実際、平成16年に発生したスマトラ沖地震で発生した津波では、直前に潮が引くことはありませんでした。
津波や高さについて
津波の高さを表す言葉はいくつかあります。例えば津波高や浸水深、遡上高等です。津波高は、津波が発生していない時の平常潮位から津波によって上昇した海面との差、浸水深は地盤から津波の痕跡までの高さです。遡上高(そじょうこう)は、平常潮位から津波の痕跡までを表す言葉です。津波が陸地を這い上がった最大到達高度となり、津波の高さから最大で4倍の高さとなることがあります。
気象庁の「予想される津波の高さ」という発表は、海岸線での値となります。場所により、予想よりも高い津波が来襲することがあるので注意が必要です。
津波は地形によって高さが変わります。例えば、V字型や岬の先端はエネルギーが集中する為、波が高くなります。他にも波は変化するので繰り返し押し寄せたり、波がいくつか重なったりして高い波となったり、津波は後から来襲する方が始めの津波よりも高くなることもあります。最初の波が小さくても、注意が必要なのです。
津波は浅くても、遅くても逃げ切るのは非常に難しいでしょう。海岸から津波が見えてから逃げるのではなく、地震の揺れを感じたらすぐに避難することが大切です。
まとめ
・地震によって海底面の動きで海水全体が変動して波が発生するのが津波発生の仕組み
・震源が陸地に近いほど早く到達し、水深が浅くなると速度が遅くなる
・揺れを感じない程、遠方で発生した地震による津波が日本に到達することがある
・津波の高さを表す言葉には津波高や浸水深、遡上高がある
・遡上高は津波が陸地を這い上がった最大到達速度
・地形によって津波の高さは変わる
・津波が見えてから逃げるのは難しい
・地震の揺れを感じたら速やかに避難することが必要
参考サイト
◆気象庁 津波発生と伝播のしくみ
◆気象庁 津波について
◆内閣府 防災情報のページ 特集東日本大震災
◆国土交通省 津波に関する用語の定義(案)