甚大な被害をもたらす「地すべり」。これはいったいどうして起こるのでしょうか。そのメカニズムについて見ていきましょう。
「土の滑りやすさ」が大きな影響を与えている
私たちが立っている「地面」というのは、実はとても柔らかく、そしてもろいものです。
地面のなりたち、地面のありかたにはさまざまなものがありますが、地すべりが起こりやすい環境というものは確かにあります。
地面はいくつかの層によって成り立っています。粘土層の上に地下水があり、さらにその上に土が積み重なっています。
このようなかたちの土地は、非常に滑りやすいもの。普段はそれほど不都合がなくても、「粘土層の上にある地下水の量」が増えると、地面がずるずると滑りやすくなってしまいます。
そして、地面に亀裂が入り、地すべりが起きてしまうのです。
なお、地下水は、大雨などが降ることで、たやすくその量を増やしてしまいます。
実は結構頻繁に起きている
「自分が今立っている地面」が動き、地面が滑り、ごうごうと流れていく……。
このような光景というのはなかなか「自分のこと」としてとらえられないものですし、「実感がない」と感じる人もいるでしょう。
しかし、実はこの地すべりは、毎年日本各地で起きています。
これは、日本の地層がそれほど強くないことや、天候が大きく関係しています。たとえば、滑りやすい土壌であったとしても、雨が少なければそれほどリスクは大きくありません。また逆に、雨が多い地方であったとしても、土壌の摩擦係数が大きければ、地すべりになる可能性は低いのです。
しかし日本は、「土壌がそもそも滑りやすい」「梅雨の時期があり、台風も頻繁に起こる」ということもあり、地すべりが起きやすい環境が整ってしまっているのです。
また、大変恐ろしいことではありますが、地すべりは、一度起きてしまったら人間の手で止めることは非常に難しいと言えます。そのため、国や県などが主導し、「まず、地すべりを起こさないようにする工事」が取られています。
ちなみに、昔大きな被害をもたらし、死亡者26名を出した長野県も、現在ではきれいに整備されています。
まとめ
・地すべりは「滑りやすい土壌」があるところで起きる
・大雨や台風によって、地下水の水かさが増えることで起きやすくなる
・日本にはもともと多い災害である
・一度起きると人力で止めることは極めて困難である
・防止のための工事はよくされている