水害は長雨が続く6~7月にかけて多発し、過去には大規模災害も起こっています。被害を最小限に留めるためには、梅雨のシーズンを迎える前にきちんと備えを行っておくことが必要です。今回は、家庭でできる水害への備えについてお伝えします。
土嚢の準備
浸水害は、大雨の影響により河川の増水や排水溝の排水が追い付かず、あふれた水が住宅などに侵入することで発生します。被害を軽減させるには、家の周囲に土嚢を設置し、水が浸入しないように食い止める方法が効果的とされています。
土嚢とは布袋の中に土を入れた資材のことで、ホームセンターやインターネット通販などで購入することができます。土嚢は浸水を抑えたい場所に、隙間なく置くことがポイントになります。一段では不十分なことがあるので、2段、3段と積み上げましょう。
土嚢を準備できない場合は、家庭にあるもので代用します。45リットルのポリ袋に水を入れたものを段ボールの中に入れると、簡易土嚢になります。段ボールはビニールシートなどで包み、防水性を確保しましょう。他には、ポリタンクに水を入れてビニールシートで包む方法もあります。
排水溝の掃除・点検
排水溝に落ち葉やビニール袋などがつまると、排水が十分に行えず、雨水があふれ出る原因になります。排水溝は日ごろからきれいに掃除しましょう。特に、大雨・長雨・台風の予報が出ている時は、念入りに掃除・点検を行いましょう。雨どいやベランダの側溝なども忘れずにチェックしてください。
プランターやカーステップも排水を妨げる要因になるので、排水溝の付近には置かないようにしましょう。
下水の逆流への備え
大量の雨が降ると下水の処理が追いつかず、トイレ、ふろ場、流し台、洗面台、洗濯機の排水溝などから逆流してくることがあります。
下水の逆流は水嚢によって防ぐことができます。45リットルのポリ袋に水を半分くらいまで入れ、口をきつく縛ると簡易水嚢のできあがりです。このときにしっかり空気を抜くようにしましょう。袋を二重・三重にすると、強度も増します。作った水嚢は、排水溝の上に置いて塞いでください。
床下収納への備え
床下が浸水してしまうと、床下収納の蓋が押し上げられて室内に逆流することがあります。床下収納があるお宅は、床下収納からの浸水対策も行いましょう。
まず、浸水したら困るものを取り出し、別の場所に移動します。続いて、床下収納扉の上に水嚢や重いものを置き、蓋が開かないようにしましょう。
大切なものは上の階に移動する
浸水害は建物だけでなく、家財にも被害を与えます。食料や水の備蓄、貴重品、移動可能な電化製品、思い出のもの(写真など)は、あらかじめ二階や高い棚の上などに移動させましょう。
余裕がある場合は、畳なども高い場所に移動します。食卓の上などに移動することによって、被害を免れるケースもあります。
避難準備も忘れずに
大雨による被害は家屋や家財だけではありません。洪水や土砂災害が発生し、命を落とすこともあります。水害への備えは、「命を守る」という視点も取り入れる必要があるのです。
まずはハザードマップで、自宅等のリスクや最寄りの避難所を調べましょう。続いて、非常用持ち出し袋の準備をします。必要なものが水で濡れて使えなくならないように、ジッパー袋などに入れて防水対策をしてください。非常用持ち出し袋そのものを防水のものにするとベストです。防水のものが準備できない場合は、ビニール袋で覆いましょう。
避難時は傘を持つことは危険です。レインコートなどを準備しておきましょう。履物はスニーカーなど靴底がしっかりとしていて、脱げる心配のないものを選びます。長靴は水が浸入して重たくなるので不向きです。
大雨の予報が出ているとき、注意報や警報が発令されているときは、こまめに情報収集をしてください。避難情報が発令された場合は、早めに避難を行います。
天候や周囲の状況は刻一刻と変化し、いざ避難しようと思ったら安全に避難できる状況ではなくなっているケースもあります。日頃から避難準備を行い、安全なうちに避難を開始することを心がけましょう。
まとめ
・土嚢を家の周囲に設置し、浸水を抑えよう
・排水溝の落ち葉やゴミなどを取り除き、排水性を確保する
・下水の逆流に備え、水嚢で塞ぐ
・床下収納扉がある場合は、水嚢を設置して開かないようにする
・大切なものは高いところへ置き、水に浸からないようにする
・非常用持ち出し袋や避難時に必要なものを、雨が降る前に準備しておく
・情報収集を行い、早めに避難をする