どれだけ気をつけていても、運転中に体調不良になることはあります。もし万が一、運転中に意識を失ってしまうと、自分だけではなく周囲の人を巻き込む事態に成りかねません。
運転は、自分よりも大きな力を操作すること。適切な運転ができなくなれば、巨大な力は制御不可能となり、人々の脅威となるのです。
今回は、運転中に体調不良になったときはどのように対応すればいいのかについて、詳しくご紹介いたします。事前に知っておくと、いざというときに冷静に対応できるようになりますよ。
運転中の体調不良による事故は深刻な事態を招く

体調不良による事故は、重症者や死者の割合が高いです。車同士の事故の場合は、正面衝突事故になることが多いでしょう。体調不良によりハンドルやブレーキ操作ができなくなるので、障害物を避けることができないからです。もしくは、ハンドル操作が十分にできずに左右に蛇行するケースもあります。
国土交通省による運転者の健康状態に起因する事故報告件数の推移を見てみると、健康状態に起因にする事業用自動車の事故報告件数は年々増えています。平成24年は143件だったのに対し、平成26年では220件。平成28年では304件となり、平成24年の2倍以上増加しているのです。
普段健康な人でさえ、体調不良になることはあります。事故が起きてからでは遅いので、体調不良になった時に正しい行動することが、自分や周囲の人の命を守る鍵となるでしょう。
運転中に体調不良になったときの対処法

運転中に体調不良になった時は、安全を確保しながらすぐに路肩に寄せて停車するか、近くの駐車場で休息をとりましょう。無意識にアクセルを踏んでも走行しないようにすることも大切なポイントです。体調によっては、停車している時に家族や知人に連絡をすることも必要かもしれません。
もし、体調面が回復しないときは必要に応じて救急車を呼びましょう。絶対に体調不良のまま運転を続けてはいけません。
体調不良になった場所が高速道路であれば、サービスエリアに立ち寄って身体を休ませます。サービスエリアによっては、救護室を用意していることがあるので、近くのスタッフまで声をかけましょう。
体調不良のときは運転を控える

少しでも体調に不安を感じたら、その時点で運転をしない選択肢をとることが大切です。周囲の人から体調面について指摘され、運転を控えるように言われたときも意固地にならず素直に従うべきです。体調不良のまま運転をしてしまうと、最悪の場合運転中に意識を失い、命にかかわる重大事故を起こす危険性が高まるからです。運転者本人だけではなく、周囲の人を巻き込むことにもなりかねません。
もし、ご自身が運転できる状態なのか判断しかねるときは、国土交通省の事業用自動車の運転者の健康管理マニュアルを参考にするといいですよ。健康管理マニュアルには、通常時との比較ができるようなチェック項目がいくつか載っています。例えば熱の有無、疲れを感じているか否か、腹痛や吐き気、下痢の有無、薬を服用しているか否かなど。それぞれチェックして、客観的に自分の体調を判断しましょう。
また、日ごろから健康診断を受けることも大切なことです。所見があるときは、運転について医師に相談しましょう。当然のことですが、運転を控えるように言われたら運転するべきではないでしょう。
まとめ
・運転中に体調不良になったときの事故は重症・死亡事故につながりやすい
・健康状態に起因する事故は年々増加している
・体調に異変を感じたら安全な場所に停車し、身体を休ませる
・必要に応じて救急車を呼ぶ
・普段から自身の健康に気遣い、客観的に判断することが大切
参考サイト
◆JAF「運転中に体調不良になったときはどうすればいいの?」
◆国土交通省「「事業用自動車の運転者の健康管理マニュアル」の概要」
◆国土交通省「健康起因事故発生状況と 健康起因事故防止のための取組」