日本には全部で110もの活火山があり、そのうち50もの火山が監視・観測が必要=いつ噴火してもおかしくないと、気象庁は発表しています。
世界文化遺産として名高い富士山もこの50の活火山のうちの1つです。
2014年には長野県・御嶽山(おんたけさん)が噴火し、58名もの方々が亡くなられました。
では、火山が噴火した時にいったいどういうことが起こるのでしょうか?
噴火後に起こる現象とその危険性を調べてみました。
火山が噴火! まず飛んでくるのは?
最初に怖いのはマグマや灰よりも「噴石」
火山が噴火…と聞いた時に、真っ先に何が思いつきますか?
真っ赤に燃えるマグマの濁流? それとも、もの凄い量の火山灰でしょうか?
確かにどちらも飛び出して来るのですが、真っ先に警戒しなくてはならないのは「噴石」です。
火山の火口から勢いよく飛び出した石や岩、空中で固まった溶岩が4kmほどの範囲に渡り降り注ぎます。
大きい物だと車と同じ大きさの噴石もあり、建物の屋根を打ち破る破壊力を持ちます。
冒頭に名前が出た2014年御嶽山噴火の犠牲者のほとんどは、この噴石の直撃により亡くなられたと言われています。
降り注ぐ噴石から逃れるには、頑丈な建物のなかに逃れる他ありません。
逃げきれない!? 猛烈なスピードでやって来る脅威
火砕流の速度と温度は?
噴石をやり過ごせたら、次に考えられる危険は「火砕流」です。
火山の噴火はマグマが地表に出てきたり、それに暖められた地下水が水蒸気となり地中で爆発を起こす事で起こります。
その時に、高温の火山灰や岩、水蒸気が一体になって山を流れ落ちてくる現象を「火砕流」といいます。
一言で言うなら、猛烈な熱を持った雪崩……といったところでしょうか。
火砕流の速度は時速100kmを超える事もあり、温度も100℃を超えます。
これが流れた後の土地は全て焼き払われ、巻き込まれたらまず助かりません。
日本では2014年の御嶽山噴火でも火砕流が起きましたが、特に大きな被害を出して有名なのは1991年の長崎県・雲仙岳の噴火で起きた大火砕流でしょう。
この時は消防団員や報道関係者など44人もの方が火砕流に巻き込まれ、亡くなられてしまいました。
被害が拡大してしまった理由としては、火砕流についてしっかりとした情報が共有出来ず、避難が遅れてしまったそうです。
火砕流から命を守る方法は、巻き込まれる可能性のある範囲から避難する他ありません。
噴火後に長い期間住民を苦しめる嫌な存在
火山ガス・火山灰にも要注意
「噴石」「火砕流」この二つの脅威は、直ぐに命に関わる怖い存在ですよね。
でも、長い期間をかけて、人々の生活そのものに影響する現象も火山は引き起こします。
そのひとつが「火山ガス」で、これはマグマに溶けていた水蒸気や二酸化炭素、二酸化硫黄や硫化水素が空気中に出てくる有毒なガスの事です。
発生した直後は高温の場合もあり、吸い込むと喉を焼かれてしまう事もあります。
2000年の三宅島での噴火では4年半もの間、人が住む地域にまで火山ガスが発生して避難生活を強いました。
火山ガスに対応するには、避難するしかありません。
もし噴火に巻き込まれたら、火事の時と同じ様に濡れたハンカチ等を口にあて、出来るだけ火山ガスを吸い込まない様にして避難しましょう。
もう一つの脅威は「火山灰」です。
鹿児島県・桜島の噴火で起こる火山灰が特に有名ですね。
火山灰は、火山から飛び出した噴石のなかでも、直径2mm程度の特に小さなものを言います。
火山灰の怖いところは、雪の様に降り積もり、車や飛行機のエンジンを壊したり、農作物を枯らしてしまう事です。
人間にも影響はあり、吸うと肺や喉が傷つけられてしまいます。
取り除くのも一苦労です。
しかし火山灰が一番やっかいなのは、ものすごく広い範囲に影響が及ぶ事でしょう。
1707年に起きた富士山の宝永大噴火では、江戸にまで火山灰が降ったと記録されています。
なんと100kmほどの距離を飛んできた事になります。
これだけ広範囲に影響が出ると、避難しようがありません。
しかし、桜島近辺で過ごす鹿児島の方々が観光商品として灰を缶詰にして販売しているのを見ると、火山灰が降る環境でも人は生活していけるのだなと感じさせられます。
火山灰の対策方法としては、灰が積もったらスコップ等でかきながらゴミ袋に入れていく事です。
火山が噴火すると、周りに住む人々へ多大な影響が出ます。
時には火山噴火の影響が長期化することもありえます。
大切なのは、正しい情報に耳を傾けて、避難すべき時にはしっかりと迅速に避難する事です。
どんな災害でも言えますが、早め早めの行動で大切な命を守りましょう!
【まとめ】
- 火山噴火直後は噴石に注意し、頑丈な建物の中へ
- 火砕流からスピードで逃げることは困難。火砕流が発生しない場所へ退避
- 火山ガスや火山灰などで被害が長期化する恐れもあり
参考サイト