災害時に想定される代表的なケガの一つにやけどがあります。
やけどは広範囲になると生命の危険があり、救急要請が必要になってきます。
家庭でできる応急手当の知識を身に付けると同時に、重症度を見極める判断能力も養っていきましょう。
軽いやけどの場合

やけどをした部位を流水で冷やしましょう。
受傷後はすぐに水道水やシャワーなどの流水で10~30分冷却します。
刺激が強いときは、やけどをした部位に直接水圧がかからないように洗面器などで浸していきます。
衣服の上からやけどをした場合
やけどをした患部上の衣服は脱がせないよう、衣服を着たままの状態でホースなどを使って流水をかけます。
無理に衣服を脱がそうとすると皮膚組織を痛める場合があります。
痛みがある場合は、間接的に保冷剤や氷を入れたビニール袋で受傷部位を冷却していくと、痛みを軽くすることができます。
広範囲なやけどの場合
ホースやバケツで水をかけていきます。
水につけた清潔なシーツなどでやけどをした部位を包んで冷やします。
広範囲なやけどの定義
一般的には体の全表面積15~20%以上を広範囲としています。
目安としては片足1本分の面積が広範囲とされています。
目安となるやけどの面積
・体の前(裏)面全部:18%
・片手全部:9%
・片足全部:18%
・頭全部:9%
広範囲なやけどは血圧が一気に下がり意識障害が出てきます。
すぐに流水で冷やして救急車を呼びましょう。
薬品によるやけどの場合
家庭にもさまざまな薬品が常備されています。
薬品によるやけどの対応も同じですが、体についた薬品は流水でよく洗い流すことが大切です。
目に入った場合は絶対にこすらないようにします。
やけどをした目を下にし大きく開眼させて流水で洗い流していきましょう。
やけどの重症度の目安

第1度(表皮熱傷)
皮膚が赤くなりひりひりしてきます。
経過は良好で数日で治癒します。
第2度(真皮熱傷)
水泡(水ぶくれ)ができ皮膚の表面が崩れてきます。
経過は1~2週間を必要とします。
第2度のやけどでは水泡が形成されやすい状態にあります。
水泡はやけどの傷口を保護する役目があります。
水泡が形成した部位を氷水に浸したり氷で直接冷却したりすると、凍傷を起こすことがあります。
また傷口を保護する役目もあることから、水泡をつぶすと感染を起こしやすく、治癒する時間が長引いてしまうので絶対にやめましょう。
第3度(皮膚全層熱傷)
皮膚が白くなり痛みを全く感じない状態です。
ケロイド治療や植皮が必要になってきます。
完治するのに1ケ月以上かかります。
家庭でできるやけどの応急手当を身に付けておくと災害時にもきっと役立つことでしょう。
まとめ
・やけどは広範囲になると生命の危険がある
・軽症なやけどは流水で冷やす
・衣服の上からやけどをしたときは患部上の衣服は脱がせない
・広範囲なやけどとは体の全表面積15~20%以上を指す
・広範囲なやけどは救急要請の必要がある
・薬品によるやけどは流水でよく洗い流すことが大切
・薬品が目に入った場合は絶対にこすらないこと
・第1度(表皮熱傷)は皮膚が赤くなりひりひりするが経過は良好
・第2度(真皮熱傷)は水泡(水ぶくれ)ができ、皮膚の表面が崩れる
・水泡(水ぶくれ)は絶対につぶさない
・第3度(皮膚全層熱傷)は皮膚が白くなり痛みを全く感じない状態
・第3度(皮膚全層熱傷)はケロイド治療や植皮が必要