低栄養状態になると免疫力が低下し、肺炎にかかる確率が高くなります。
特に高齢者は低栄養状態になりやすく、肺炎を機に寝たきりになってしまい、そのまま介護生活に突入してしまうこともあります。
改めて肺炎は日本人死亡率の第3位です。
肺炎にならない高齢者の栄養管理について、詳しくみていきましょう。
低栄養状態(栄養不良)とは?
低栄養状態(栄養不良)(以下、低栄養)とは、人間は生命を維持することで、日常生活を営むために必要なエネルギー(カロリー)とたんぱく質を必要としています。
この必要な成分が不足している状態を低栄養と呼んでいます。
肺炎を起こさせないためには低栄養を予防していくことが大切です。
低栄養になるとどうなるか?
・免疫力が低下する
・感染症にかかりやすくなる
・筋肉や骨の減少によって運動機能が低下する
・たんばく質不足による浮腫や褥瘡(床ずれ)の発生
・体力低下の悪循環による疾病の悪化
・日常生活動作の低下にともなう介護度の上昇
低栄養になりやすい人

昨今、高齢化社会が進む中、低栄養は社会問題として大きな課題になっています。
今後、低栄養は懸念することが予想されてきます。
・70歳以上の高齢者
・男女別では男性が多い
・高齢者のみの世帯
上はすべて高齢者であり、まさに時代そのものを反映しています。
栄養管理と摂食配慮
栄養管理とは何も無理に食事を勧めることではありません。
年齢を重ねた高齢者はさまざまな疾患を抱えていることが多く、食事をしたくても思うように栄養管理が進まないことがあります。
そのようなときには、栄養調整食品などを有効に活用していくことをオススメします。
高たんぱくでバランスの摂れた栄養調整食品は、崩れた栄養バランスを整える効果も期待でき、高齢者の強い味方になってくれます。
それから、歯や入れ歯の調子を整えていくことも必要です。
低栄養を予防するためには、しっかりと噛めることが大切です。
噛むことで唾液の分泌量が増え、消化管の動きが活発になり消化吸収が良くなってきます。
食事後は口腔内に食物が残っていないか確認することも忘れてはいけません。
誤嚥予防は肺炎を防ぐことです。
食事中、食事後の確認を確認することが大切です。
・食事に工夫しよう
お茶やみそ汁でむせてしまうときは、トロミ調整剤を活用します。
固形物でむせてしまうときは一口量を少なめにしたり、まとまりのあるようにトロミがけを上手く活用していきましょう。
・姿勢を整えよう
顎を引いた状態で食事をすることが大切です。
顎が上がった状態は食物が気管に入りやすく、誤嚥のリスクが一気に増す姿勢です。
顎を上げるとむせやすく、口と気管の角度が開き、口腔内の物が気管に入りやすくなってしまうのです。
誤嚥を防ぐためにも、顎をしっかりと引いて食事をしましょう。
・食べ方に注意しよう

食事中は食べることだけに集中するようにしましょう。
食事に集中することで嚥下機能を十分に発揮することができます。
自身の咀嚼力を考慮して一口量を調整していくことも大切です。
このように、肺炎と栄養管理の関連性から低栄養にならないためには、様々なアプローチが必要になってきます。
いつまでも口から食事が摂れるように、摂食中の安全確認を下記にまとめておきます。
口から食べるチェックポイント3選
①誤嚥の確認
・むせや咳、がらがら声はないか?
・意識に変化はないか?
・呼吸は安定しているか?
②危険な行動の確認
・顎を上げた姿勢で食事を摂っていないか?
・お喋りをしながら食べていないか?
・飲み込む前に次から次へと口に詰め込んでいないか?
・口にたまった物をお茶で流し込んでいないか?
・むせながら食事をしていないか?
普段の生活も確認
・発熱していないか?
・痰は出ていないか?
・食欲低下はないか?
・栄養や水分の摂取量は不足していないか?
食後は口腔内を清潔にすることも忘れずに、肺炎と栄養管理を見直していきましょう。
まとめ
・高齢者は低栄養になりやすい
・肺炎を機に介護生活に突入してしまうことがある
・低栄養になるとあらゆる身体機能が低下し介護度が上昇してしまうことがある
・栄養調整食品などを有効に活用する
・歯や入れ歯の調子を整えていく
・誤嚥予防は肺炎を防ぐ
・トロミ調整剤を活用する
・顎をしっかりと引いて姿勢を整える
・食事中は食べることだけに集中する
・咀嚼力を評価し一口量を調整する
・摂食中の安全確認をする