「在宅避難」という言葉から、どのようなことをイメージしますか?中には「自宅で避難をするのだから、普段の生活とそんなに変わらない」と思う方もいらっしゃるでしょう。このように楽観的にとらえていると、避難をするうえでの備えが足りなかったり、困りごとが生じたときの対処に困ったりすることがあります。
今回は在宅避難のシミュレーション方法についてお伝えするので、家族で取り組み、もしものときに向けて備えや話し合いをするきっかけにしてみましょう。
在宅避難とは
在宅避難とは、災害があったときに倒壊・浸水・焼損・流出などの恐れがない場合に、そのまま自宅で避難生活を送ることです。
避難所の収容人数に限界があることや、新型コロナウイルス感染症などの感染症拡大リスクの恐れから、東京都など一部の自治体は、自宅の安全が確保できている場合に、在宅避難を推奨するケースもあります。もちろん必ず在宅避難をしなければならないというわけではありませんが、自宅が安全な場合などは選択肢に入ってくるため、日頃から準備をしっかりと行っておく必要があると言えるでしょう。
在宅避難シミュレーションの意義
避難訓練は、災害時の被害を軽減させる効果や、素早い避難など命を守る行動を経験しておくことができます。また、危険な場所、危険な行動、改善すべき点などを洗い出して安全な避難につなげることや、防災用品のチェック・改善などへとつなげることもできます。
在宅避難のシミュレーションも同じで、「在宅避難とはどういうものか」ということを事前に経験しておくことで、いざというときの心構えを養うことができるとともに、問題点や改善点を見つけ、防災・減災の取り組みに活かしていくことが可能であると考えます。
在宅避難シミュレーションのやり方
①食料や防災用品を準備する
シミュレーションは、在宅避難に必要なものを準備するところから始めましょう。まずは食料と飲料水です。7日分×人数分を準備します。非常食や保存水だけでなく、レトルト食品や缶詰、ミネラルウォーターなど市販のものも活用しましょう。ローリングストックを行うと、備蓄を日常的に行うことができて便利です。
災害時はインフラが停止することも予想されます。懐中電灯など灯りを確保するもの、モバイルバッテリーなどスマホを充電するためのグッズ、カセットコンロ、飲料水の配給に備えたポリタンク、生活用水の備蓄、簡易トイレなどを準備しましょう。
②実際に避難生活を送ってみよう
準備して満足するのではなく、実際に避難生活を体験してみましょう。
まずは日程調整をし、家族全員が参加できる在宅避難シミュレーションデーを決めます。当日は朝から夜まで電気・ガス・水道を極力使わないで生活をします。
食事は備蓄した食料を使います。食料を調理するときは電子レンジやガスコンロを使用せず、カセットコンロを使ったり、発熱剤を使用してみたりしましょう。
トイレは一人一回を目安に簡易トイレを使用してみましょう。簡易トイレキットをセットする方法や、使用後の処分方法などを実際に体験しておくことが大切です。
在宅避難シミュレーションは停電している想定で行います。したがって、シミュレーションの最中はテレビや携帯の充電器は使用しないでください。情報収集手段としてラジオを使ってみましょう。スマホを使う場合は、電池消費量を抑える方法に取り組んでみるなど、いざというときを想定してみましょう。モバイルバッテリーの使い方なども合わせてチェックしておいてください。
③話し合い、問題点は改善する
シミュレーション後は家族で話し合いを行い、どのような問題があったのかを共有しておきましょう。足りないものは買い足し、使い勝手が悪いもの・いざ使おうと思ったときに使えなかったものは、買い替え・交換を行います。不便だと思ったこと・危険だと思ったことは、どうしたら快適になるのか・安全を確保するためにはどうしたらいいのかを話し合ってみましょう。
まとめ
・在宅避難は自宅が安全な場合に、自宅で避難生活を送ること
・在宅避難のシミュレーションを行い、問題点や改善点を見つけ、防災の取り組みに活かす
・まずは在宅避難に必要なものを準備しよう
・準備したものを使って実際に避難生活を送ってみよう
・問題点、改善点を家族で話し合い、より安全で快適な避難生活が送れるように役立ててみよう