昨2016年も安全保障・防衛に関わるニュースがたくさんありましたが、昨日(2016年1月9日)には「中国軍爆撃機6機を含む、8機が対馬海峡を通峡し、航空自衛隊の戦闘機が緊急発進(スクランブル)対処を実施した」と統合幕僚監部により報道発表されました。世界全体における情勢変化の激しさや日本を取り巻く環境の厳しさなどから、2017年は自衛隊に関する報道は更に機会が増えることが予想されます。
そこで昨年6月19日より選挙権が18歳以上となったこともあり、高校生にも防衛問題や自衛隊についてまず関心をもってもらい、考える際の参考となりそうな基礎的知識を「素朴な疑問Q&A」として、数回に分けて紹介していきたいと思います。
そこで昨年6月19日より選挙権が18歳以上となったこともあり、高校生にも防衛問題や自衛隊についてまず関心をもってもらい、考える際の参考となりそうな基礎的知識を「素朴な疑問Q&A」として、数回に分けて紹介していきたいと思います。
今回は最初ですので自衛隊の関連用語について次の3つを順番に説明します。
Q1:「防衛省」と「自衛隊」はどう違うのでしょうか?
Q2:「自衛官」と「自衛隊員」は同じではないのでしょうか?
Q3:自衛隊で使われている名称は他国の軍隊と違うものが多いけど、それはなぜでしょうか?
Q1:「防衛省」と「自衛隊」はどう違うのでしょうか?
Q2:「自衛官」と「自衛隊員」は同じではないのでしょうか?
Q3:自衛隊で使われている名称は他国の軍隊と違うものが多いけど、それはなぜでしょうか?
Q1「防衛省」と「自衛隊」はどう違うのでしょうか?
防衛省と自衛隊は別々のものではなく、基本的に同じ組織を指している。
「防衛省」というときは、陸・海・空各自衛隊の管理運営などを任務とする行政組織の側面からの名称であり、「自衛隊」というときは、日本防衛の任務など実力組織の意味合いで呼称されている。”(※参考図書『日本の国防』久江雅彦著から引用)
以前の防衛白書では、「静的」・「動的」という言葉も説明の例えとして使われていたように、防衛行政を担当する「防衛省」という役所であり、そこは同時に実動を担当する「自衛隊」という防衛出動や災害派遣などの業務を行う組織でもあります。
新聞記事などに「防衛省・自衛隊」と分けて表記されていることもあるのはこのためです。
新聞記事などに「防衛省・自衛隊」と分けて表記されていることもあるのはこのためです。
Q2「自衛官」と「自衛隊員」は同じではないのでしょうか?
防衛省(自衛隊)に勤務する人は、「特別職」と「一般職」に分けられ、一部(一般職)を除きほとんどが「自衛隊員」です。

特別職は、防衛大臣や政務官などと自衛隊員を指しています。
自衛隊員には、「制服組(旧武官)」(制服を着て階級を持っている人)と「背広組(旧文官)」(私服を着て階級を持っていない人)という区別があり、制服組を「自衛官」といっています。
つまり、自衛官は自衛隊員の中に含まれますが、自衛隊員の全てが自衛官ではないのです。
また、自衛隊員の「定員内」には、事務次官、参事官、事務官等、自衛官が、「定員外」には、即応予備自衛官、予備自衛官、防衛大学校学生、防衛医科大学校学生、非常勤職員などが含まれています。
自衛隊員には、「制服組(旧武官)」(制服を着て階級を持っている人)と「背広組(旧文官)」(私服を着て階級を持っていない人)という区別があり、制服組を「自衛官」といっています。
つまり、自衛官は自衛隊員の中に含まれますが、自衛隊員の全てが自衛官ではないのです。
また、自衛隊員の「定員内」には、事務次官、参事官、事務官等、自衛官が、「定員外」には、即応予備自衛官、予備自衛官、防衛大学校学生、防衛医科大学校学生、非常勤職員などが含まれています。
Q3自衛隊で使われている名称は他国の軍隊と違うものが多いけれど、それはなぜでしょうか?

背景として、終戦後のGHQによる占領政策や自衛隊の前身である「警察予備隊」創設当時におけるさまざまな事情もあり、「旧軍で使用されていた名称をできるだけ避けてきた」という経緯があります。
「軍」「兵」「戦」などの用語を使用しないようにしたため、「戦車」を「特車」と呼んでいた時期もあったほどです。
「軍」「兵」「戦」などの用語を使用しないようにしたため、「戦車」を「特車」と呼んでいた時期もあったほどです。
多くの例がありますが一部を紹介します。
例1:「職種」(旧兵科)では、「歩兵」→「普通科」、「砲兵」→「特科」、「工兵」→「施設科」、「憲兵」→「警務科」、「軍医」→「医官」など
例2:階級では、「大佐・中佐・少佐」→「1佐・2佐・3佐」、「大尉・中尉・少尉」→「1尉・2尉・3尉」、「曹長・軍曹・伍長」→「1曹・2曹・3曹」、「上等兵・1等兵・2等兵」→「士長・1士・2士」など
例3:装備では、「軍艦」→「自衛艦」、「駆逐艦」→「護衛艦」など
(外国の軍人などと話をするときは共通の軍事用語を使って説明しています。)
例1:「職種」(旧兵科)では、「歩兵」→「普通科」、「砲兵」→「特科」、「工兵」→「施設科」、「憲兵」→「警務科」、「軍医」→「医官」など
例2:階級では、「大佐・中佐・少佐」→「1佐・2佐・3佐」、「大尉・中尉・少尉」→「1尉・2尉・3尉」、「曹長・軍曹・伍長」→「1曹・2曹・3曹」、「上等兵・1等兵・2等兵」→「士長・1士・2士」など
例3:装備では、「軍艦」→「自衛艦」、「駆逐艦」→「護衛艦」など
(外国の軍人などと話をするときは共通の軍事用語を使って説明しています。)
【まとめ】
・「防衛省」と「自衛隊」は別々のものではなく、基本的に同じ組織を指している
・管理運営の行政組織としての側面で「防衛省」、実力組織としての意味合いで「自衛隊」と呼ばれている
・自衛隊員には、自衛官以外に事務官、予備自衛官、学生、非常勤職員など多くの人が含まれている。
・自衛隊で使われている名称は、歴史的な経緯もあり他国と違う独特なものが多い
・管理運営の行政組織としての側面で「防衛省」、実力組織としての意味合いで「自衛隊」と呼ばれている
・自衛隊員には、自衛官以外に事務官、予備自衛官、学生、非常勤職員など多くの人が含まれている。
・自衛隊で使われている名称は、歴史的な経緯もあり他国と違う独特なものが多い
参考図書
『日本の国防』久江雅彦著(講談社現代新書)
『自衛隊の誕生』増田弘著(中公新書)
『学校で教えない自衛隊』荒木肇編著(並木書房)
『こんなに強い自衛隊』井上和彦著(双葉新書)
『自衛隊の誕生』増田弘著(中公新書)
『学校で教えない自衛隊』荒木肇編著(並木書房)
『こんなに強い自衛隊』井上和彦著(双葉新書)
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