SNSサイトは子どもたちにも人気です。画像や文章を自由に掲載し、気の合う者や共通の趣味を持つ者どうし自由につながれて楽しいですからね。
一方で、SNSを通じて自画撮り写真を送らされる児童ポルノ被害が増加しており、一生不安を抱えて生きていかなければならない事態にもなっています。警察庁によると、自画撮り被害の内SNSサイトが関わるものの件数は、H24年で約150件だったのが、H28年で390件と大幅に増加しています。
本記事では、SNSを中心に自画撮りをきっかけとするトラブル例を紹介します。自画撮り写真の扱い方について、是非親御さんからお子さんに注意喚起を行ってください。
SNSにおいても自画撮り被害が増加
自画撮りによる児童ポルノ被害者は、8割~9割が女子中学生と女子高校生です。SNSでの自画撮り被害者もまた、女子中学生と女子高校生が8割~9割を占めます。
SNSでやり取りをする内に弱みを握られたり力関係が生まれたりして、やむにやまれず下着姿や裸の自画撮り写真を送らされる事態になったりするのです。
以下、実例をもとにしたSNSでの自画撮り児童ポルノ被害を紹介します。
SNS上での自画撮り被害例

ある女子高校生Aさんが、SNSサイト内で女子高校生のたくさん集まるコミュニティに参加します。
そのコミュニティで、いろいろな人の投稿に面白いコメントを送ったり、興味深い話しを掲載している「ある人」が目につきます。Aさんは「ある人」に興味を持ち、「ある人」の投稿にコメントを送る等して徐々に仲良くなっていきました。
やがて、仲良くなった「ある人」から、個別に教えたいことがあるからダイレクトメールでやり取りをしてほしいと持ち掛けられます。Aさんは期待感もあったし、見ず知らずの相手とは言え「ある人」のプロフィールによると同じ女子高校生なので大丈夫だろうと判断し、承諾します。その後、個別のやり取りをはじめたことでAさんと「ある人」の関係は緊密さを増し、Aさんはいつの間にか友人と喧嘩したこと等も「ある人」に相談するようになります。
そんなある日、Aさんは「ある人」と個別のやりとりで楽しく盛り上がっていると、「ある人」は楽しさで悪ノリしたように自分の下着姿だという若い女性の下着姿の写真を送ってきます。さらに「ある人」は、「私は下着姿を見せたのだから、Aさんも下着姿を見せて」等Aさんの自画撮り写真を要求してきます。
Aさんが断ると、「私にだけ送らせてひどい」とか「この前○○さんの悪口言ってたよね、バラすよ」等強い文面になります。Aさんは、今まで相談相手にもなってくれていた相手に対して自分はひどいことをしているような気になり、結局下着姿の自画撮り写真を送ることになったのです。
だが、「ある人」はプロフィールと違い、女子高校生ではなく大人の男だったのです。送られて来た若い女性の下着姿の写真は、ネットにあったものを張り付けただけでした。「ある人」は、女子高校生の自画撮り写真を得ることを目的にSNSに参加した悪意ある人だったのです。
要求がエスカレートすることも
Aさんの例以外に、下着姿の写真をばらまかれたくなかったら裸の自画撮り写真を送って来い等と要求がエスカレートする事例もあります。
それどころか、写真をばらまかれたくなかったらデートしろ等と実際に会うことを要求してくる事例もあります。これはもう、命に関わる事態です。
SNSには、自画撮り写真を得ることやデートに無理やり誘うことを目的に参加している、悪意ある人もいるので注意してください。
悪意を持った相手でなくても自画撮り写真を送るのは危険
ウケねらいで親しい友人に恥ずかしい自画撮り写真をメールで送り、その場は楽しく盛り上がったのですが、後にその友人と喧嘩になった時に憂さ晴らしとしてその友人がその恥ずかしい自画撮り写真をSNSでバラまいたという事例もあります。
また、交際中に恋人に要求されるまま露出度の大きい自画撮り写真を送り、破局後に「写真をSNSで拡散されたくなければもう一度付き合え」とリベンジポルノの道具に使われたという事例も多々あります。
一度ネット上にアップされた画像は消せない

SNS上に一度アップされた自画撮り写真は、本当の意味で消すことは不可能です。確かに、SNSの管理者に削除要請すれば、その掲示板からは消えます。ですが、掲示板を見ていた誰かがその写真をコピーして保存している可能性はあります。それも、一人や二人ではありません。
そして、その内の一人が「こんな面白い画像があった」とSNSに掲載するかもしれません。すると、またその投稿を見た人が保存して…。もう、世界何十億人の内何人が自分の恥ずかしい自画撮り画像を保有しているか解りませんし、将来SNSや誰かのブログやどこかのホームページ…どこでアップされるかもわかりません。
自分の知らないところでアップされていた恥ずかしい自撮り写真がきっかで、就職活動で不利になったという例もあります。
自画撮り被害に遭わないために
このように、自画撮り被害は一度遭ってしまうと極めて厄介です。そこで大事なことは、露出の多い自画撮り写真をはじめ、たくさんの人に見られると恥ずかしい自画撮り写真は誰にも送らないことが最重要です。
お子さんは、その場の悪ノリや恋人に嫌われたくない一心で自画撮り写真を送ってしまったり、自画撮り写真が将来困ったことにつながるということ想像をできていないこともあります。保護者の方から、自画撮り写真が将来重大事態につながる可能性があることをお子さんに伝えてあげてください。また、SNS上には自画撮りを強要する悪意を持った人がいるという注意喚起も行ってください。また、恋人や友人に自画撮りを強要されて困っている場合、一人で解決するのは極めて難しいです。いつでも周囲に相談できる環境を作ってあげましょう。
もしお子さんが自画撮りをきっかけにトラブルに巻き込まれた場合、保護者には相談しづらいかもしれません。そこで、子ども人権110番やインターネット人権相談受付窓口、児童相談所等プロたちが相談に乗ってくれるということも教えてあげてください。
まとめ
・SNSサイトには悪意を持って参加している人もいる
・SNSで見ず知らず相手から自画撮りを送るよう要求されても絶対に応じない
・仲のいい友人や恋人に自画撮り写真を要求されても冷静に考え直し送らない
・自画撮り写真を要求されてどう応えればいいか解らない時、また自画撮りのトラブルに巻き込まれた時は子ども人権110番やインターネット人権受付、児童相談所が相談に乗ってくれる
・保護者の方からお子さんに注意喚起をする
参考サイト
◆東京都青少年・治安対策本部:「「自画撮り被害」防止に向けて~東京都青少年の健全な育成に関する条例の改正~」
◆政府インターネットテレビ:「自画撮り被害が増加! SNS上の出会いに要注意!!」