今までは、「時間外労働の上限をオーバーしても、行政指導が行われるだけ」という状態でした。
しかし2019年からは大企業に、2020年からは中小企業にも、時間外労働の上限を超えて労働させてはならないとする法律が施行されました。
これによって、労働者の負担が軽減するものとみられています。
ただし時間外労働の上限規制には例外もあります。
今回は、「時間外労働の上限規制の例外」と、「時間外労働の上限規制をオーバーした場合の罰則」について解説していきます。
時間外労働の上限規制の例外
時間外労働は、基本的には「上限は月に45時間、年に360時間」とされています。
ただし、例外もあります。
「非常に忙しい時期であり、臨時的にどうしてもこの時間をオーバーしてしまう」などのようなときもあるでしょう。たとえば、「普段は月に5時間も残業しないのに、決算時期の1か月だけ月に90時間以上の残業となる」などのような状況です。
このような状況を踏まえて、臨時的に、そして企業側と社員側で合意がとれていて、かつ次の条件を満たす場合は、時間外労働の上限を超えても構わないとされています。
・年間の時間外労働が720時間を超えない
・時間外労働の上限をオーバーする月は、年に6か月まで
・休日労働+時間外労働の時間が、月に100時間を超えない
・複数の月(「2か月平均」「3か月平均」「4か月平均」「5か月平均」「6か月平均」)の平均労働時間が、月に80時間を超えない
また、医師や建設業などの一部の職業については、時間外労働の上限規制が猶予あるいは特例扱いされます。
時間外労働の上限時間を超えた場合の罰則
上でも述べたように、かつては、「たとえ時間外労働が月に45時間を超えた場合であっても、行政指導にとどまる」とされていました。つまり、罰則規定がなかったわけです。
しかし法改正によって、この「時間外労働の上限規制」をオーバーした場合は企業側に対して罰則が科せられることになりました。
その罰則とは、「6か月以下の懲役または30万円以下の罰金」です。
この罰則が重いとみるか軽いとみるかは、判断が分かれるところでしょう。
しかしあえて罰則を設けたということは、それだけ「国側が明確な意図をもって、労働者を守ろうとしていることの表れ」だといえます。
まとめ
・時間外労働の上限は、原則として月に45時間・年に360時間まで
・特別な事情がある場合は、月に100時間未満・年に720時間・複数の月の平均時間外労働が80時間未満であり、かつ企業と社員側で合意が取れた場合はそれ以上の労働も認められる
・オーバーした場合は、6か月以下の懲役または30万円以下の罰金が科せられる
参考サイト
◆厚生労働省「時間外労働の上限規制」
◆ビズアル「16時間労働は違法?休憩なしの場合や夜勤の実態についても解説!」
◆アテラ「【弁護士監修】時間外労働とは?正しい方法で残業代を計算しよう」