日本が地震大国であることは、多くの人が知っています。
そしてこの地震は、もう1つの恐ろしい災害である「火事」と密接に関わっています。
特に、阪神淡路大震災においては、大きな揺れに加えて、各地で起きる火事が人の命や財産を飲みこんでいきました。この大震災において、火事によって失われてしまった街並みは80万平方メートルにのぼると言われています。
では、どうして地震で火事が起きるのでしょうか?
その原因と対策について見ていきましょう。
地震が火事を引き起こすその理由は?

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阪神淡路大震災は、冬の寒さが一段と厳しくなる1月17日に起きました。
当然のことながら、この季節は、暖房器具が必須の時期です。
多くの家屋のなかで電気ストーブなどの暖房器具が使われていました。
地震が起きた時、多くの建物が倒壊したり、暖房器具を含む家具が倒れたりしました。これによって配線トラブルが起きたり、倒れた暖房器具の火が燃えやすいものに燃え移ったりしたと言われています。照明器具ですら、火災の原因となりました。
さらに、「復旧作業による火災」も起きました。
復旧作業が進むことは大変喜ばしいことなのですが、このときに、すでに正常な状態ではなくなった配線にも電気が通ることになりました。
その結果、配線から火花が出てしまい、また新たな火災を呼び起こすことにもつながりました。
「できること」「できないこと」を見極めよう
このような被害を防ぐためには、地震が起きた直後に、「自分はどのようなことをするべきか」を頭に入れておかなければなりません。
まず、火を速やかに消すこと。
余裕があれば、避難する前にブレーカーを落とすようにします。
また、ゆれが収まった後に再びスイッチを入れる前には、必ず安全確認をしてください。
もっとも、「火事を食い止めようとした結果、自分自身が逃げ遅れた」ということになれば、人的被害は大きくなります。
そのため、地震の規模が大きかったり、すぐに消火活動ができる状態ではなかったりした場合は、逃げることを優先すべきです。
ちなみに、この阪神淡路大震災の教訓はその後の地震対策に生かされています。
2016年に起きた熊本地震においては、通電時に火災が発生したという報告は0件でした。
地震大国に生きる私たちにとって、地震とセットで起こり得る火災は、決して人事ではありません。しかし痛ましい教訓が、「それから後」の地震対策を支えています。
まとめ
・暖房器具が倒れたり通電時のトラブルで、阪神淡路大震災では数多くの火災が起きた
・地震が起きた時、可能ならば使っているものの火やスイッチを落とすこと
・ブレーカーを落として避難したり、復旧後は安全確認をしたのちに通電したりすれば安全性を高められる
・「無理だ」と感じたのならばすぐに逃げるべき
・阪神淡路大震災の教訓は、今に生かされている