「自転車の運転においても、道路交通法(以下「道交法」)が適用される」ということは、すでに述べた通りです。
基本的には、「自動車でやったときに重い処罰を下される違反行為は、自転車でやったときにも重い処罰が下される」と思っておいて間違いありません。今回は、そのなかでも悪質な「飲酒運転」について取り上げます。
自転車で飲酒運転をしたときの罰則とは
自転車で飲酒運転をしたときの罰則について、まずは見ていきましょう。
自転車で飲酒運転をした場合、「5年以下の懲役もしくは100万円以下の罰金が科せられる」とされています。自転車は「軽車両」にあたるため、このようなかたちで罰が下されるわけです。
ただ、自転車の場合、自動車の運転とは異なり、処罰対象となるのはあくまで「酒酔い運転」のときだけです。「酒気帯び運転」のときは処罰対象とはなりません。
酒酔い運転というのは、「アルコールの影響によって、正常に運転をすることができない状態」を指します。
対して、「酒気帯び運転」は、呼気のアルコールの濃度を基準とするものです。
「どれだけ酔ったら正常に運転ができないか」は人によって異なりますが、自転車の方が判断基準は緩いといえます。また、「少しお酒を飲んで自転車を短距離運転していた状態」を警察に見とがめられた場合、すぐにその場で厳しい罰則が科されるという可能性はそれほど高くはありません。
「注意したにも関わらず乗り続けた」あるいは「いったん下りたけれども、警察がいなくなったらまた乗り始めた」などのような時が悪質とみなされます。
実際の運用について
自転車は加害者側になると同時に、被害者側になることもある交通手段です。
自動車と自転車が交通事故を起こしたとき、基本的には自動車の過失割合の方が高くなります(同じ条件ならば、自動車が7:自転車が3)
しかし飲酒運転をしていた場合は、自転車側の過失割合が1~2割ほど引き上げられます。
自転車の飲酒運転は、自動車の飲酒運転に比べて軽く考える人が多いものです。しかしそこには刑事罰なども存在することを忘れてはいけません。
まとめ
・自転車の飲酒運転でも罰則がある
・100万円以下もしくは5年以下の懲役刑が課せられる
・自転車の場合、「酒気帯び運転」は処罰対象とはならない
・実際の運用において、「お酒を飲んで少しまたがっただけ」でいきなり処罰されることはほとんどない
・自転車の飲酒運転で自動車とぶつかったとき、自転車側の過失割合が加算される