子ども乗せ自転車は通勤時や買い物など、様々なシーンで活用している人が多いのではないでしょうか。子どもを抱っこしたり、手を繋いで歩くよりも、子ども乗せ自転車に乗せた方が負担は軽減されるはず。特に子どもが2人いる場合は、より利便性を感じることでしょう。
しかし便利な反面、子ども乗せ自転車を使うときに油断してしまうと大事故につながる危険性があります。実際、子ども乗せ自転車による事故で、多くの子どもたちがケガをしています。そして2018年7月には、横浜市で1歳児が死亡するという痛ましい事故が起きてしまいました。母親が1歳児を抱っこひもで抱っこしながら走行し、転倒してしまったのです。
痛ましい事故を防ぐためにも、まずはどのような事故が起きているのか実態を知りましょう。保護者が意識することで、子どもの命は守れます。
子ども乗せ自転車による事故の実態とは

東京消防庁管内では、平成23年~28年の間で1,349人の子ども(14歳以下)が子ども乗せ自転車による事故で救急搬送されています。そのうち約90.7%にあたる1,224人が自転車から落ちたり、ころんだりしてケガをしています。
事故が起きやすいのは、子ども乗せ自転車を使って保育園や幼稚園へ送迎を始める人が増える4月~7月までの時期です。4月に救急搬送された子どもが103人だったのに対し、7月には161人に増えています。
年齢別で見てみると、2歳児の事故が最も多く、1,349人のうち416人で全体の30.8%。次に1歳児の392人(約29.1%)、3歳児の235人(17.4%)と続きます。1~3歳児だけでも、全体の77%にあたるのです。
事故に遭った8割の子どもたちが軽症で済んでいますが、中には生命の危険が強いと診断される重症が4人、生命の危険がより高い重篤が1人います。
子ども乗せ自転車の事故は、状況によって生命の危機を感じる程、危険性が高いことが分かりますよね。
医療機関ネットワークによる事故の実態を見てみると、過去には1歳児の子どもにヘルメットを着用させずに走行していたところ転倒。子どもは顔面をコンクリートに打ち付けてしまい、頭骨骨折及び頭蓋内損傷による入院というケースが起きました。
また、こども乗せ自転車の事故は走行中だけではなく、停車中にも起きています。実際に起きた事故は、子どもを乗せている状態でヘルメットとシートベルトを外し、その後に荷物をおろしていたところ自転車が転倒。1歳児がコンクリートの地面に頭を強打し入院したというケースです。
子ども乗せ自転車を使用するときは、走行中も停車中も常に事故に気をつけなければなりません。
事故を防ぐ対策について

子ども乗せ自転車による事故を防ぐためにも、ヘルメットとシートベルトは必ず装着させましょう。近場だからと油断してはいけません。たとえ近場であっても、重大な事故が起きる可能性があるのです。
また、交通ルールを守り、安全運転を心掛けましょう。停車中の事故を防ぐためにも、子どもを乗せた状態で自転車から離れたり目を離さないようにすることも必要です。静かに乗っていても、保護者が離れたことで子どもが急に動きだすことがあるからです。
もし、子どもが2人いるときは、後部座席から前部座席に乗せ、おろすときは反対に前部座席からおろすとバランスが安定しやすくなります。
子ども乗せ自転車で子どもを危険な目に遭わせないためにも、きちんとした対策をとりましょう。
まとめ
・事故の9割が自転車からの落下や転倒
・保育園や幼稚園に送迎を始める7月までに事故が起きやすい
・1~3歳児の事故は全体の7割
・ほとんどが軽症だが重篤事故も1件起きている
・ヘルメットとシートベルト着用は必須
・安全運転を心掛ける
参考サイト
◆消費者庁:「子供の事故防止に関する関係府省庁連絡会議」
◆産経新聞:「自転車転倒、母が抱っこの1歳児死亡 前のシートには2歳長男」