新型コロナウイルスによる過度な受診控えが問題視されています。新型コロナウイルスへの感染を恐れる方や、誰かに感染させてしまうのではないかと不安になっている方が多くいます。
しかし過度な受診控えは、病気の重症化や発見の遅れをまねいてしまうもの。子どもの予防接種であれば、適切な時期に受診しないと感染症にかかる可能性があります。今回は、過度な受診控えによるリスクについて詳しくご紹介いたします。
過度な受診控えのリスク
過度な受診控えは病気の重症化や免疫力低下、病気の発見の遅れをまねく恐れがあります。神奈川県保険医協会が医師・歯科医師に対象にアンケートを行ったところ、医科・歯科共にコロナ禍では外来患者数が減ったと答えている割合が多いことが判明しました。受診控えによる受診遅れや重症化例については、医科の40%が「あった」と答えています。特に、皮膚科や耳鼻科で答えた割合が高くなりました。
医科の受診控え事例を見ると、血圧コントロール不良や血糖コントロール不良が多いでしょう。これらは緊急宣言下における自粛で、食生活の乱れや運動不足が生じたことが要因とも考えられますが、患者自身が受診控えを申告したケースが少なくありません。受診控えによって入院やがんの発見の遅れ、治療時期を逸したケース等、深刻な状況になった事例もいくつか確認されています。
”がん”の場合は、早期なら無症状であることが多いです。今の時代、がんは2人に1人がかかると言われています。早期発見、早期治療を行う為にも、過度な受診控えをせず、定期健診やがん検診をうけた方がいいでしょう。健康に不安がある時は早めに医療機関を受診することが大切です。
持病がある方の場合は、過度な受診控えによって薬が切れてしまう可能性があります。先述したアンケートの中でも、薬が切れないよう2日に1回服用していたと申告したケースがありました。持病の悪化を防ぐ為にも、定期的に医療機関を受診しなければなりません。
今度は歯科受診控えについてですが、受診控えによる受診遅れや重症例があったとアンケートで答えたのは全体の59%です。歯周病の悪化や虫歯の進行等が多い傾向にありました。
歯科の場合も義歯性潰瘍や、炎症が増悪し抜歯することになったケース等、受診控えによる深刻な事例があります。
乳幼児健診や予防接種は必ず受けなければならない
乳幼児健診や予防接種は必ず受けましょう。新型コロナウイルスの感染を恐れて乳幼児健診や予防接種を遅らせる方がいますが、子どもの健康状態や成長を確認したり、感染症のリスクを低くする為に必要なものです。乳幼児健診に関しては、医師や保健師、助産師等に相談できる機会でもあります。予防接種は適切な時期に受診しないと免疫がつかず、感染症に罹るリスクが高まります。
乳幼児健診や予防接種は決められた時期に従って受けましょう。その際、自宅での体温測定、帰宅時の手洗いを徹底し、自身でも感染症対策を行いましょう。
医療機関では感染防止対策を行っている
医療機関では、院内感染防止のガイドラインに基づき、換気や消毒等の感染防止対策を行っています。安心して適切な医療機関の受診をしましょう。
新型コロナウイルスの症状は発熱や咳、腹痛等様々ですが、これらの症状は他のものが原因でも表れます。自己判断は健康上のリスクを高める原因です。体調不良を感じたら、かかりつけ医に相談するといいでしょう。
まとめ
・過度な受診控えは病気の重症化や免疫力低下、病気発見の遅れをまねく
・受診控えによって入院やがんの発見の遅れ、治療時期を逸したケースがある
・持病がある方は医療機関の適切な受診が必要
・歯科も受診控えによる深刻な事例がある
・乳幼児健診は子どもの健康状態や成長を確認する為に大切
・予防接種は感染症のリスクを低くする為に必要なもの
・医療機関は院内感染防止のガイドラインに基づき対策を講じている
参考サイト
◆厚生労働省 上手な医療のかかり方.JP 新型コロナウイルス対策を踏まえた適切な医療機関の受診(上手な医療のかかり方)について
◆いい医療.com 神奈川県保険医協会 新型コロナの感染が怖くて、医療機関への受診を我慢していませんか?我慢せずに、かかりつけ医(歯科医)に相談しましょう。